大盛り上がりとなったクラッシュ力部門に続いて行われるのは、ピンチ力部門。


こちらで使用されるのは「握撃バスター」

名前のとおり、こちらも握撃道さん監修の器具である。




男子は75mm、女子は50mm幅の無骨な箱を摘んで規定の高さまでリフトする種目だ。


私にとってはここが最大の勝負所。

そして第1回大会のトラウマを払拭する舞台でもある。


第1回大会時、このピンチ力部門は「ハブパンチ」という種目が採用されていた。

私としてはこの種目、結構自信があったのでアップも全くせずに22.5kgを申請。

軽くリフトして最終的には27.5〜30kgを狙っていた。


そんな態度で挑んだところ、なんと


22.5kgが3試技とも挙げられず、屈辱の三振を喫した


のである。


普段ならアップなしでもリフト出来るはずの重量で「まさか」の結果で、大会の難しさを感じた出来事だった。


ピンチ力の種目は共通してだが、手のコンディション作りが難しい。

チョーク(滑り止め)を付けるのだが、付けなさすぎれば当然滑るし、付けすぎてもこれまた滑る。

さらにその日の気候、湿度、器具の状態によっても量を調整する必要がある。


と、ここまで書いてなんだが私の場合はそこまで深くは考えていない。

というか考え過ぎると頭がごっちゃになるので、


「量はこのくらいかな、この手の感じなら上手くフィットするかな」


というのを今までの経験とフィーリングでなんとなーく感じ取りながらやる事にしている。


今回、事前に決めていたのは27.5kgスタート→32.5kg→35kg以上という流れ。

クラッシュ力の結果から、調子は良いと思うのだがピンチはまた別物。

また、クラッシュ力で記録更新した反動、3回試技したダメージも考慮しなければならない。


という事で、今回は少しアップをするとこに。


握撃道の皆さんが会場に用意してくれた器具を触らしてもらい20kgをリフト。


感触は悪くない。

ただピンチ系は1kg増えるだけで地面にへばり付いたまま全く浮かないということも多々ある。


前回のトラウマからかなりナイーブになっていたのでもう少し申請重量を控えるかだいぶ迷った挙句、スタートは予定通り27.5kgを選択。


ピンチ力からは各クラス合同で申請重量が低い順に試技をしていく。


そして27.5kg!

ライバル握撃さんも私と同じく27.5kgスタートという事でまずは握撃さんが問題なく成功。


次に私。

前回のハブピンチの悪夢が頭をよぎる。

かなり緊張しながらも集中して指先に力を込めリフト!


カツーンと規定の高さに設置されたバーに触れる音がしたのでコントロールしておろす。(リフト後に所謂グリップアウトした場合は失敗になるのでおろすときも注意が必要)


判定は…「成功です!」の声。


安堵感が押し寄せる。まずはホッと一息というところだ。

とはいえ、いつもより重さを感じた。第2試技、どうするか迷った挙句、31.25kgを選択。

最初の感触で一気に5kgアップは危険と判断した。


第2試技、なんと握撃さんも31.25kgを選択し難なくリフト。流石である。

次に私の番。

3.75kgという微妙な重量アップのおかげか、27.5kgとあまり変わらない体感でリフト成功!

この時点で-19クラスのピンチ部門は握撃さんと私がトップタイ。


そして第3試技。

勝つにはここで勝負をかけるしかない。

トレーニングでリフト出来ていたのは32.5kgまで。

握撃さんはそれ以上は確実にリフトしてくる。

控えた重さでは勝てない。同重量でも勝てない。

選択したのは…


35kg。


おそらくリフト出来る可能性がある最大重量であろう。

腹を括って申請用紙に35の文字を記入。


そしていよいよ3巡目…

自分の番が回ってくるまでに握撃さん、さらに同クラスの握力2年生さんが32.5kgを見事成功。


さて、遂に35kg。私の番だ。


ーリフト出来れば勝ち。出来なければ負け。


深呼吸して指先に力を込め、リフトしにかかる。

浮いたが重い…

重いが…あげるしかない!!


全力で規定のバーまでリフトし…届いた!!

コントロールしておろす。


判定は…


「成功です!」


思わず年甲斐もなくガッツポーズ!!笑


このピンチ部門でも40kgをリフトして全体トップを獲ったのはおよカトさん。

ちょっと舌を巻く強さ、しかも淡々とこなされているので底が見えない。

40kgをリフトしたのを見た時は思わず首を振って「強すぎる」と苦笑してしまった。


さて、これにてピンチ部門も終了。これで作戦通り「大逃げ」で首位通過。


最後のホールド部門を残すのみとなった。


次回は「決着のホールド編」である。