先月鑑賞したのに、感想を書けないでいたのはあまりにも完璧だったから。

『悪は存在しない』のように、モヤモヤが残ったり「あそこどう思った?」と語り合いたくなる作品ではなく、ただただ素晴らしかった。


これほど嗚咽レベルに泣いてしまった映画は、今までにはない。

言葉にしてしまえば、とっくのとうにわかり切っているはずの正論なのに、映像で見せられると、これほど心に直接染み込むのか……と。


ただ息をしているだけの植物人間状態の老人や、ただ母に迷惑をかけているだけの知的障害の姉にも、優しい目を向けられそうな鑑賞後感だった。


実際は、鑑賞してからだいぶ経ってしまうとそんな気持ちも薄れていくので、まるで薬のようにたまに見返したい作品だ。