『今でしょ!?講座』より
夏目漱石の小説『思い出す事など』で…
「…仰向けに寝た余は、天井を見つめながら、世の人は皆、自分より親切なものだと思った。住みにくいものとのみ感じてた世界に、忽ち暖かな風が吹いた。」
草枕には…
「…とかくに人の世は住みにくい」と書いた。
ところが病気になってみると、みんなが優しく見える。意外と世界は暖かいものではないか、とも書いている。
療養生活の中で
「病気の時には、自分が一歩現実の世を離れた気になる。他(ひと)も自分を一歩社会から遠ざかったように大目に見てくれる。こちらには一人前働かなくても済むという安心が出来、向こうにも一人前として取り扱うのが気の毒だという遠慮がある。そして、健康の時にはとても望めないのどかな春が、その間から湧いて出る。」
病気は、嫌な事ではあるけど、ギスギスした世の中、人間の欲のぶつかり合う嫌な世の中だと思っていたのに、違った面が見えた。病気にならないとわからなかった世界が見えた。
彼の作風は、前期と後期で大きく変わってくる。生と死の間に病がある。それを彼がどう受け止めたか?それが後期の作品に繋がってきて、後半は病いを抱える人を書き始める。
彼が『修善寺の大患』という経験をしたことで、何か一つ重いものを背負ったのではないか?と。今までそれほど『死』を自覚しないで作品を書いていて、
「あなた30分死んでいた」
という経験は、決定的に人の生き方に影響を与えるものではないか?
人が生きるとはどういうことで、死ぬとはどういうことか…
病いを経験した作家が、書かずにいられなくなった、文学と病いとの関係。
夏目漱石の小説『思い出す事など』で…
「…仰向けに寝た余は、天井を見つめながら、世の人は皆、自分より親切なものだと思った。住みにくいものとのみ感じてた世界に、忽ち暖かな風が吹いた。」
草枕には…
「…とかくに人の世は住みにくい」と書いた。
ところが病気になってみると、みんなが優しく見える。意外と世界は暖かいものではないか、とも書いている。
療養生活の中で
「病気の時には、自分が一歩現実の世を離れた気になる。他(ひと)も自分を一歩社会から遠ざかったように大目に見てくれる。こちらには一人前働かなくても済むという安心が出来、向こうにも一人前として取り扱うのが気の毒だという遠慮がある。そして、健康の時にはとても望めないのどかな春が、その間から湧いて出る。」
病気は、嫌な事ではあるけど、ギスギスした世の中、人間の欲のぶつかり合う嫌な世の中だと思っていたのに、違った面が見えた。病気にならないとわからなかった世界が見えた。
彼の作風は、前期と後期で大きく変わってくる。生と死の間に病がある。それを彼がどう受け止めたか?それが後期の作品に繋がってきて、後半は病いを抱える人を書き始める。
彼が『修善寺の大患』という経験をしたことで、何か一つ重いものを背負ったのではないか?と。今までそれほど『死』を自覚しないで作品を書いていて、
「あなた30分死んでいた」
という経験は、決定的に人の生き方に影響を与えるものではないか?
人が生きるとはどういうことで、死ぬとはどういうことか…
病いを経験した作家が、書かずにいられなくなった、文学と病いとの関係。