自由を求め任侠道に入った伯爵息子!日活「日本仁侠伝・血祭り喧嘩状」高橋英樹/芦川いずみ/宍戸錠 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。

 

 

昨日の8時に勤務を終え、月曜日11時の始業時迄の休み中です。現在の秋田市内は雨雪ではないものの強風かつ急速に冷え込んでおり予報では積雪とも…今週は定時退社出来た日が一日も無い程忙しく、昨日に至っては週末の纏め等々もあり三時間残業になりましたが、テレビを買ったばかりでしたから非常に有難い気持ちで仕事が出来ましたし、次の目標(冬用タイヤ購入等々)の為と思えば身体は自然と動きます。貯金も大事ですが、或る程度の物欲を持って適度に金を使う方が仕事に対する意欲が沸きますので俺は今後もそうして行きたいです。

 

 

さて本日は此方の作品を…DVD化がされており、ビデオマーケット/Amazonプライムビデオ(Amazonプライム会員特典対象作品)内に於いて有料動画配信が行われています。尚、最近Amazonプライムビデオ内の個別課金チャンネルに「日活プラス」が新たに加わり、ロマンポルノを含めた多くの作品が見放題となっている模様です。俺も時期や作品の追加状況を見て加入を検討しようかと考えています(CS・衛星劇場の代わりに日活・大映及び角川・松竹のチャンネルに加入しようかと…仮に加入しても月額料金は衛星劇場の半分で済みます)。

 

 

「日本仁侠伝・血祭り喧嘩状」昭和41年4月10日公開・松浦健郎原作・松浦健郎/舛田利雄の共同脚色・舛田利雄監督・日活制作。

 

 

 

 

舞台は明治末期の関東…伯爵家の次男坊ながらも自由を求めて侠客の道に入った高橋英樹でしたが、客分として滞在した神田隆率いる一家の出入りの際相手方の女親分である芦川いずみを失明させた事、昵懇となった神田さんの一家の若衆であった藤竜也が兄貴分の玉川伊佐男に殺されたのを目撃した事でこの世界に嫌気が差し旅に出て、その際に出逢った高品格率いる旅芸人一座に加入します。しかしこの一座の紅一点である太田雅子(現・梶芽衣子)の貞操の危機を救った際に鉢合わせとなった宍戸錠がフジタツさんの実兄であった上に「フジタツさんを殺害したのは英樹さん」と吹聴されていた事、加えて芦川さんの一家の若衆の小高雄二が英樹さんを執拗に狙った事で英樹さんは再び侠客の世界に戻るのです、今度は失明と一家の崩壊の詫びをしなければとの一心で芦川さんとその実妹の和泉雅子が住む家に上がり込んで…

 

 

 

 

「脇や見通しの甘さは否めぬものの、余り世間を知らず育った坊ちゃまだからこそスッと侠客の道にも芸人の道にも入り込める。しかも堅気の人間としての良心も失われてはいないから常人には受け入れられ筋人には認められ悪人には煙たがられる」英樹さんの人物設定はこんな所でしょうが、侠客の王道と言える物語が多かった東映・組を解散させた安藤昇を起用し本物の凄味を生かそうとした松竹・一匹狼とその相棒が織り成す反骨精神を前面に出したかの様な大映に対して日活は巧い所を突いたなぁと思います。又、日活清純派の代表格である芦川さんが盲目の女侠客を品を持って静かに演じたものの(スキンヘッドで尼を、そして遣手の統轄を、更には売春婦に成り下がった婚期を逃した独身女性や後輩に高圧的な態度を取る寮長等々、自身に植え付けられた印象を破り続けた女優はやはり格が違います)太田さんと和泉さんは恋敵に発展するのではないかと期待させる様な描写を加える事で従来の日活ファンがすんなりとこの類の作品に移行出来る様に配慮されたかの様な親切心を感じます(和泉さんは清涼感が際立っていますし、太田さんは基本的には落ち着いた感じであるものの顰めっ面を披露する等々茶目っ気がとても可愛らしいです)。

 

 

そして「侠客の王道を囓ったばかりの英樹さんとフジタツさん・無頼漢の宍戸さん・一家想いながらも無鉄砲な小高さん・非常に解り易い悪を極めんとばかりに顔から凶悪となった神田さんと玉川さん」と、東映を中心とする野郎向けの作品群が大好きな方々も満足して貰えるであろう配役と物語の流れも中々です。そう云えば青木義朗は生前或る書籍で舛田監督の事を「マスさん・マスちゃん」と親しみを込めて呼びながら「だってあの人芸術嫌いだもん…「映画は俺ぁ芸術じゃ無いと思う」って言っているよ」この考え方を青木さんは「俺は好きだね。映画はやっぱり観ている人のものだもの、絶対そう思う」更に「過去には「鬼のマス」と呼ばれていたし(中略)撮影中に船酔いして俺達を置き去りにして帰宅した事もあるけれど俺は大好きな監督」とも…現代の映像業界に足りぬモノ…いや、受け入れる事すら拒絶されているかの様な最も基本で大事な事を青木さんは端的にズバリ言って下さった事に感謝です。しかしまぁ、青木さんのお話は文面化されていてもべらんめぇ口調かつ、下手な若手芸人の出し物を観るよりも遙かに楽しいし大笑い出来ます、趣味の一つが落語であった事も大きいのでしょうが…もし青木さんの全盛期にトーク番組が活況であったなら確実に引っ張りダコになったであろうと思う程!