眠りから目覚め、目隠しを取られ行き着いたのは…東映東京「陸軍諜報33」千葉真一/丹波哲郎 | 東映バカの部屋

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皆様、こんにちは。

 

 

昨日20時に勤務を終え月曜日11時の始業時迄の休みに入りましたが、今朝は非常に寒いです。この先数ヶ月は布団と暖房が最良の友となるでしょう。しかし相変わらず灯油が高値ですから(因みに秋田県生協連の配達価格は過去二番目の高額とか…)厚着・設定温度等々で使用量を節約しなければなりません。尚、エアコン暖房も考えてはみたのですが電気屋に言わせると俺の部屋の様に気密性・断熱性が現在の家屋と比較をすると格段に劣る部屋では高上がりとの事で止めました。

 

 

さて本日は此方の作品を…未DVD化作品でU-NEXT内に於いて有料動画配信が行われています(見放題対象作品)。

 

 

「陸軍諜報33」昭和43年2月9日公開・金子武郎/高岩肇の共同脚本・小林恒夫監督・東映東京制作。

 

 

 

 

新聞記者の吉田輝雄と婚姻した実妹の萩怜子の祝いの席から青森・弘前の連隊に戻っていた千葉真一は道中の列車内で向かいの席に座った軍人の丹波哲郎の薦めた酒を飲んだ直後に意識を失った上に、旅館で目覚めた際に隣に寝ていた夫人の殺害容疑を掛けられ有期刑が確定しましたが、目隠しをされ移送されたのは諜報養成機関である陸軍中野学校…そう、丹波の御大はここの代表を務める少佐で、千葉ちゃんは他の仲間(今井健二・市川好朗等々)と共に仮の名を貰い死と隣り合わせの訓練を乗り越えて「卒業試験」と称される初の諜報活動を命じられます。それはドイツの駐日通信員を探る事、しかもその事件を追っていく内に判明したのは義理の弟となった吉田さんが祖国の裏切り者である大学教授の根上淳とその通信員の連絡役を担っていた事…千葉ちゃんは偉大なる昭和天皇と大日本帝国の為に吉田さんを葬る覚悟を決めますが通信員の手下の者の手で殺害されます。そしてこの件は千葉ちゃんが敵国のスパイであったピアニストの緑魔子に接近した事と通信員が自決した事により一応の解決を見たのですが、仲間の今井さんと共に次に命じられたのは一般的な通称「パレンバン奇襲作戦」で…

 

 

 

 

偉大なる昭和天皇と大日本帝国(様々な意見が取り交わされていますし過ちも確かにありましたが、それでもこの時代があってこそ今があるのは事実ですから俺はやはり偉大と思っていますし、その感覚の一部を政治や国際問題、日常に生かす事こそ現状打破に繋がる布石となるとも考えています)を取り上げた東映作品となると、特攻隊に主眼を置いた「東映戦記三部作」(あゝ同期の桜/人間魚雷・あゝ回天特別攻撃隊/あゝ予科練)や「あゝ決戦航空隊」「大日本帝国」に代表される戦記大作の印象が強いですが、当作品や「八月十五日の動乱」「パレンバン奇襲作戦」「ルバング島の奇跡・陸軍中野学校」等々、プログラムピクチャーの一作として公開された作品群の「あっさりと的確にこの時代の様相を描く」「極めて短期間・短時間に起きた事案をじっくりと見せる」等々の点は東映のみならず他社の戦記作品にも劣らぬ出来を見せています。只、極一部を除いた評論家・識者連中は「不良性感度・卑猥度等々の高い観客目線の一級娯楽が多い東映作品」に関しては内容の如何を問わず低評価を与える傾向が強い事と(文芸性や格式で観ているのですからどうしようもありません)それを良しとする映像作品ファンの支え、そして利己主義者が比較的多い左派思考の方々の「臭い物には全て蓋」とも思える感覚が「個人の嗜好感覚をも超えた、食わず嫌いや重箱の隅を穿っているとも捉えられる低評価」になっている可能性が高いと感じられます。

 

 

余談が長くなりましたが「不適格者は訓練期間中であろうとも早く死んだ方が身の為であるし幸せとの使い捨て主義」「諜報員である以上、帰省をしても何一つ話せず天皇と国家の為に尽くしていないと家族に受け止められ苦悩した現実」等々を要所に端的入れた事がこの任務の肉体的・精神的過酷さをより印象付けていますし、千葉ちゃんと魔子さんとの淡い時間や千葉ちゃんの母親役である水戸光子と丹波の御大の二人だけの場面から感じ取る事が出来るのは「諜報活動であろうとも基本は人柄や人情である」特に後者の場面は臨終直前の水戸さんに千葉ちゃんは立派な軍人と報告をする事こそが最初で最後の土産かつ俺の責務と言わんばかりの丹波の御大の親心が現れていていい!そして、パレンバン奇襲作戦の際に協力者であった池部良は「丹波の御大はエリート・俺は脱落者」と云う意味合いの台詞を吐くのですが、その前に描かれている丹波の御大の姿から「丹波の御大の人柄に惚れて敢えて汚名を着て身を粉にしてでも手を貸そうと腹を決めたのでは?」と、俺は受け止めました。