贋造小判流通の黒幕を追え!東映京都「大岡政談・黄金夜叉」月形龍之介/山形勲・伊賀山正徳監督 | 東映バカの部屋

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皆様、こんにちは。

 

 

今朝の7時に勤務を終え、月曜日20時の始業時迄の休みです。この時期にしては暑いですが風が心地良くて冷房使用迄の必要はありません。そして本日は伊賀山正光監督作品から…但し今回紹介の作品に関しては本名である伊賀山正徳名義となっていますし、劇場公開版「水戸黄門」で水戸光圀を演じた経験がある月形龍之介が大岡忠相に扮しています。これは俺の記憶の範囲内ですが、水戸光圀・大岡忠相双方を演じた経験のある俳優は多分月形の御大のみではないかと…もし記憶違いや間違いがありました際は何卒ご容赦下さい。

 

 

尚「大岡政談」の中で実際に大岡忠相が裁いたのは一つのみで他は他の奉行が裁いた事案を忠相が裁いた様に創作したか、全てが創作との話もありますが、政談もそれを元にした舞台や映像作品も娯楽なのですから我々観る側触れる側が楽しみ喜び満足さえすればそれで良く、四の五の粗探し等々をするのは野暮と云うモノ…結果良ければ全て良し!観る側が喜べば原作を逸脱しようが完全無視しようがそれは改良!餅は餅屋なのだから原作と映像作品が完全一致する必要性は一切無い!この位の気持ちの余裕を持って鑑賞する姿勢が現代では余り好まれないのは個人見解次第かつ時代の変化と言われればそれ迄ですが、古き良き思考として見直して欲しいと思うのも又事実です。

 

 

「大岡政談・黄金夜叉」昭和30年3月6日公開・結束信二脚本・伊賀山正徳(=伊賀山正光)監督・東映京都制作。未DVD化作品でU-NEXT内(見放題対象作品)に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

明石潮が営む両替商の女中が殺害された事件が発生した際、月形龍之介扮する大岡忠相は現在進行中ながらも不気味な落ち着きを見せていた贋造小判密造に絡んだ事案と判断し、配下の明智三郎(=明智十三郎)に探索を命じます。実は明石さんは自ら進んで手を汚していたのでは無く黒幕の勘定奉行・山形勲の懐刀でもあった番頭の立松晃に唆されて遣っていたのです。その現状を「裕福な今よりも貧乏だった時代の方が幸せであった」と愛娘の安宅淳子に言われた事で明石さんはこの悪事から足を洗おうとしたのですが、一度地獄の釜に突っ込んだ足を簡単に抜く事はままならぬばかりかそれを立松さんに察知され…

 

 

月形の御大の出演時間はそう多くはなく、何方かと言えば明石さん・安宅さん・立松さん等々の店側を描く方に時間が割かれています。その点では加藤剛の代名詞であるテレビドラマ版「大岡越前」を観慣れた方々には物足りなく違和感を感じてしまうかもしれませんが…月形の御大は貫禄十分ですから登場・台詞が夫々要所・要点のみでも存在感は絶大!しかも「テレビドラマ版の忠相は美男らしい美男が嵌まる印象」を植え付けてしまった感を抱きますが(但し加藤剛版に関しては質の面で我国の時代劇ドラマでは三本指に入る出来だと俺は思っています)厳つい面構えの忠相もこれはこれで悪くない!

 

 

そしてこれは映画版「水戸黄門」でも言える事ですが「余計な肉付けが然程されて居らず、印籠や桜吹雪等々時代劇ヒーローの代名詞とも言える小物を多用したり軽々しく出さない」のが映画版の各作品の美点…この「大岡政談シリーズ」もその例に漏れぬ出来ですし(但し後者の「小物」は元々該当外ですが…)事件の経緯を加害・被害側からの視点を中心に描き体制側は物語を転がす役目となっている辺りは「時代劇版・警視庁物語」と言ってもいい様な雰囲気です。実際伊賀山監督は当作品担当以降、昨日紹介した「危うしGメン・暗黒街の野獣」「特別機動捜査隊(テレビドラマ版)」等々、現代劇では数多くの事件モノを手掛けられた方ですから…