弱気が悪党を助長するの一言で温泉街が…新東宝「女王蜂の逆襲」三原葉子/池内淳子/天知茂 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。

 

 

休み二日目の夜中です。昨日は昼からワクチン接種に行きましたが今の所は接種箇所の痛みと軽い怠さで済んでいます。しかし明日昼頃迄は油断出来ません。しかも接種終了後長目の昼寝をしてしまった為に就寝出来ずにいます。しかしこの時期の夜にしては気温が高く過ごし易いのは大助かり…

 

 

さて本日は三ツ矢歌子の亭主かつ平田昭彦の実兄で本日時点で97歳の小野田嘉幹監督が手掛けられた作品です。新東宝時代の貴重なお話を是非共存命中に身体の負担の無い範囲で何処かの媒体に伺って頂きたいと思っているのですがやはり難しいのか…VHS化はされていますが未DVD化作品で有料動画配信も行われていませんし、有料波でも7.8年程前に放映されたのが現時点では最後かと思われます。

 

 

「女王蜂の逆襲」昭和36年1月15日公開・内田弘三脚本・小野田嘉幹監督・新東宝制作。

 

 

 

 

子分でパチンコの名手の星輝美とお調子者の鳴門洋二を従えて栃木・鬼怒川温泉で一家を解散後温泉旅館の経営に携わっていた御木本伸介を訪ねた東京の侠客の一人娘である三原葉子…訪問理由は御木本さんの父親の事故死に疑問を持っておりその真相を明かす為。事実鬼怒川温泉では湯元の権利を持つ牧場主と愚連隊組織が対立していた上、愚連隊側は新たな湯元の掘削に失敗した際の保険として牧場主の実子をいかさま博奕と美人局で骨抜きの借金塗れにして湯元の権利書でそのカタを付けようと目論んでいた程。しかし愚連隊側の作戦が功を奏し一度は手に入れた権利書が牧場主の金策により返却せざるを得なくなった時に新たな殺人の疑念が付き纏う事件が起き、更には御木本さんが行方不明となり…

 

 

 

 

豊かな自然を背景とした土地に暮らす人々の利権を貪る悪党と新参者(又は土地者と昵懇の余所者)が戦う姿や、得体の知れぬお調子者の喧嘩屋の天知茂の登場等々、細部にかなりの差異は存在するものの後に東映で制作され高倉健の代表シリーズの一つとなった「網走番外地シリーズ」の雛形かつ女版にも思える内容。「三原さんが「貴方達のの弱気が悪党を助長する」と言い放ち旅館の主達を奮起させる」「得体の知れぬ天知さんが敵なのか味方なのか?将又体制側なのか荒くれ者なのか?三枚目芝居なだけに最後の最後迄判別不可能な様相(放映当時の初鑑賞時点では天知さんのここ迄の三枚目芝居は観た事が無かっただけに新鮮でした)」「三原さん・輝美さんによる女二人での殴り込みの様子は男性アクション映画に全く引けを取らぬ代物として輝く場面」「三原さんとは違う色気を醸し出しながら、天知さんからくっついて離れようとはしない上にヤキモチ姿迄披露し、三原さんの魅力を邪魔せず独自性を打ち出したサブマドンナの池内淳子」「御木本さんの行方不明事件の真相解明で一挙に人物相関図が整理される気持ち良さ」「人が殴られ殺されても血が殆ど登場しない分万人向けのアウトロー作品とも言える適応範囲の広さと鑑賞側への親切心」等々、新東宝末期の作品群の中でも出来はトップクラスと言えるかと思います。此処数年は新東宝作品にスポットライトが当てられる機会が多いですから、当作品もHDリマスター版の放映・動画配信・DVD化等々を是非望みたいものです。