ある主婦売春婦の告白は…国映/新東宝映画「団地妻・迷い猫」長宗我部蓉子/平泉成・GYAO!で配信 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日20時に勤務を終え、今週末は暦通りの三連休となり火曜日11時の勤務開始時迄の休みです。しかし7/23(土)は通常出勤となり日曜のみの休みですし、来月は夏期休暇の振り替えで8/6(土)・20(土)が通常出勤ですので何とも言えぬ気持ち…収入面では良くても休養面では歳を重ねると決して楽ではありません。

 

 

さて初めに…YouTube内「TOEI Xstream theater」では7/29(金)21:00迄、今では放映もされず中々観られぬ貴重な渡瀬恒彦主演作で和泉聖治監督「Nile ナイル」が無料動画配信されています。

 

 

 

 

 

「後輩の哀川翔を従えて、樹が熟した狂犬渡瀬がエジプトを舞台に国際美術品シンジケートを相手に暴れる」既に単発テレビドラマで数多くのシリーズ作品を持っていた恒さんらしい役柄を異国色豊かに仕上げた作品であり、近年及び現代の映像作品群を好む方々には若年期の恒さんを楽しむ前に「狂犬」の雰囲気を感じて貰うには最適かもしれません。言葉や行動は若年期より穏やかでも狂犬振りは感じて貰えると思いますので…

 

 

そして本題…サトウトシキ監督作品の中でも傑作と感じる此方の作品は、GYAO!内に於いて「R15+版」が7/21(木)23:59迄無料動画配信されています。尚、結構な高い頻度で無料動画配信が行われており今後も鑑賞機会は恵まれるものと考えています。

 

 

「団地妻・迷い猫」(原題「迷い猫一般公開の際の題目「新宿♀(メス)日記・迷い猫」ビデオソフト等々の題目「告白団地妻売春クラブ」)平成10年6月28日公開・小林政広脚本・サトウトシキ監督・国映制作・新東宝映画配給。

 

 

 

 

喫茶店に向かい合って座り、静かに会話を続けている主婦の長宗我部蓉子(現・長宗我部陽子。多くの方々の記事やウィキペディアを調べてみたら俺と同郷・岩手県出身の女優!脱ぎもしなければ毒婦・悪女にもなれず馬鹿にもなれない気取った一般女優が郷里から出て来るよりも、脱げて毒にも悪にもなり馬鹿も出来る女優が出る方が遙かに嬉しいです)と記者の平泉成…しかし話の内容は「主婦ながらも売春に走った経緯と亭主の殺害完遂、そしてその後からこの場に至る迄の行動の一部始終の告白」。

 

 

夜勤に変わった亭主の仕事を見ようと夜の街に出て行く内に売春婦に誤認されながら、遂に身を委ね金銭を授受する様になります。しかし、或るヤクザが常連客となってからは亭主の求める交尾が暴力を伴うものとなり、遂にはケツ穴交尾を要求した為拒み、その勢いで部屋を飛び出しヤクザと交尾…その際拳銃を目にした事が間接要因となったのかは何とも言えぬものの、ヤクザとの行為の後単身で帰宅し、夫の性的暴力に辟易していた気持ちを爆発させ、出来るだけ苦しめながら殺害しようと子供用の金属バットを使用しその目的を完遂しましたが…

 

 

 

 

長宗我部さんが「何時記事として掲載するのか?」と平泉さんに尋ねるが「面会に行く」とは言いながらも消極的とも受け止められる回答…そこで長宗我部さんは「こんな馬鹿な女が居ると云う事を世に伝える為是非載せて欲しい」と懇願し、警察署の前に立つ場面で物語は終わるのですが、結末は大体こうなるのだろうなぁと予測は付きます。しかし、極普通の日常から墜ちる所まで墜ちた主婦の告白は静かに語られるものの、その静けさが激しい心の葛藤・事件の陰惨さ・そして罪を犯しているにも関わらず何処か清々しさをも感じさせる効果に寄与!そう言えば何方かが「究極の芝居は棒読み」とお話をされていたのを何処かで見聞きした記憶が在るのですが、その言葉を思い出した程で、事の流れには常人では考えられぬ行動が多いにも関わらず常に冷静で、声を荒げたり目を見開く等々の驚きの表情を一切見せぬばかりかコーヒーのお代りを薦める気遣いを見せた平泉さんの芝居巧者振りはさすが!

 

 

そして「長宗我部さんが扮する主婦が全てに於いて打算的・感情的に行動する人間なのか?その様に見せて実は綿密に練られた計画を実行に移したのか?=平泉さんの立場で見た場合、信用の可否が非常に判断し難い人物である点」も見物。平泉さんに先述の様な懇願をし警察署の前に立つ場面で物語が終わっても果たして自首する意思があったのかどうかすら俺自身は怪しさを感じた程…その判断は観客に委ねるがサトウ監督の意思なのでしょうが、この点も面白さを増す要素!当作品はピンク映画の形態を取ってはいるものの、性的描写を削除して45分程度に纏め上げれば単発テレビドラマとして放映しても何ら遜色のないサスペンスの傑作の一つと言ってもいい硬質な内容を持っています。