皆様、こんばんは。
休み二日目、昼過ぎに飲酒をして就寝したら夕方過ぎ迄目覚める事無く…今月は昼夜を問わず残業続きですから相当疲労が溜まっているのでしょう。休日出勤要請が無かった事は救いとなっていますが…
そこで起床後はGYAO!の期間限定無料動画配信作品で期限が近付いている三本を連続鑑賞…全作品60～70分台でしたので解り易く疲れ知らずで楽しめる…尺の長さも重要な観客目線の一つです。本日はその中から此方を…野上正義及び山尾啓子が四役・山本昌平が二役・秋田県が生み出した名優の山谷初男も出演!
「日本暴行暗黒史・異常者の血」（「日本暴行暗黒史シリーズ」第一弾）昭和42年公開・出口出脚本・若松孝二監督/制作兼任。
DVD化作品でU-NEXT/ひかりTVビデオ内で有料動画配信が、また先述の通りGYAO!内で4/29（木）23:59迄「R15+版」の無料動画配信が行われています。
野上さん扮する医大生が起こした強姦未遂事案に偶然にも立ち会う事となった警視庁刑事で普段は殺人等々の凶悪事件の捜査に従事している山本さん（特殊メイクで当時の年齢を遥かに超える老け具合である為、一目では判別が難しいです）…身柄拘束時に聞いた野上さんの本名から縁を感じた山本さんは郷里の山口県内の山村に向かっていました。何故なら野上さん・山本さん共にその山村の出身であった上に、この地には「呪われた血筋」の存在が在った為。
そして山本さんの回想と共にその「呪われた血筋の生まれた切欠と経緯」が描かれて行き、最後にはその血筋を永遠に経つ為の衝撃の事実と結末が!
ほぼ拘束の無いピンク映画の自由度を生かし反骨精神を存分に加味した社会派作品!それは「余りにも天皇第一主義に傾倒し過ぎた大日本帝国に対する批判」「差別」から「事勿れ主義・内部処理で穏便に解決するのを良しとしていた日本全国に蔓延る村社会の特殊性」等々に至る迄幅広い。加えて「呪われた血筋の軌跡が紆余曲折を経て複数の枝葉となって行き、それが結末の衝撃度を存分に高める効果を発揮している点」も見逃せません!「更なる富国強兵化の最中に在りながらも、新たな時代をより良きものとする為に屈託の無い意見交換が行われていた、当該山村に訪れた僅か数年間のいい時代も、外部の人物の過ちにより再び血筋が問われる事態に戻った不幸」も描かれているのですから隙も無ければ奥も深いですし鑑賞している此方も画面に釘付けになる…
そして作品内容と共に特筆すべきは野上さんが「格差差別を耐え抜こうと尽力をする男」「二重人格」「生みの母の心情を理解しながら同時に溺愛する青年」「異性を性処理の道具としか見ていない現代の医大生」を見事に演じ分けている芝居巧者ぶり!加えて山本さんの「他人には口が裂けても言えない事実に苦しむ現役刑事役」となるでしょう。
現代、映像作品に関する見方・考え方は「臭い物には全て蓋」そして各媒体が「制作関係者の意図を尊重し、同時に制作当時の時代背景に考慮してそのままで公開・放映・販売・配信」と断りを入れても「現代の感覚及び個人の嗜好のみを尺度として判断し、非常識な言動を行ったりそれを支持したりするキチガイ連中」が増大する一方。特に「ピンク映画・ポルノ映画・任侠/ヤクザ映画・アクション映画等々の、不良性感度の高い作品」「笑いが主体の馬鹿映画」そして当作品の様な「実録・創作双方の犯罪映画」はその槍玉になり易いです。
しかし、当方では幾度となく主張していますが、村川透監督等々も主張をしている通り「悪の中にこそ真実が在る」そして「反面教師として悪から学ぶべき物事の方が圧倒的に多い上に人間の幅が広がる。綺麗な物だけを与えては高さだけが成長し柔軟性・多様性等々の幅が置き去りにされる」等々の現実が在ります。一度変化をすると過去には中々戻らない現実も在りますしモノによってはそれが当たり前かつそれもいいでしょうが、人間の心情や行動・思考等々に関する物事は、東映の岡田茂名誉会長が生前「機器はデジタルになってもいい。作品がアナログのままでさえあれば…」と主張をした通り、過去の良きモノに戻すべき点が非常に多いのではないでしょうか。そう云った側面から「過去の映像作品・特に昭和期に制作された多数の作品」には再び輝きを取り戻して貰いたいですし、また埋もれたままの作品群がどんどん掘り起こされ日の目を見て欲しいと願うばかりです。
尚、GYAO!では、坂本道子=夏純子も出演している「日本暴行暗黒史シリーズ」第二弾「続日本暴行暗黒史・暴虐魔」の「R15+版」も5/8（土）23:59迄無料動画配信されています。此方もお薦め!
