閉店間近のキャバレーが一転…日活ロマンポルノ「ラスト・キャバレー」GYAO!にて無料配信中 | 東映バカの部屋

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皆様、こんばんは。

 

 

酒宴を終え帰宅しました。しかし、実家滞在中以外で全食「上げ膳・下げ膳」で終わったのは何年振りだろうか…と云うのも日中は、定期的に昼飯を奢り合っている別の悪友が「俺の奢りの番だが、これから行かないか?」となりラーメンを。この悪友も昼は送迎バス、夜は運転代行と忙しく半年振りに顔を見ました(但し電話は週末に必ずかかって来ています)。今度は俺が奢る番ですが何時になる事やら…因みに酒宴は割り勘でした。

 

 

さて本日も簡単に…JNN系列の大ヒットドラマ「毎度おさわがせします」で中山美穂の同級生を演じられていたかとうみゆきの「日活ロマンポルノ初主演作品」です。去年或るウェブサイトに登場し、ロマンポルノ出演前に宇宙企画制作の作品に幾度か出演されていたとお話をされていましたが、今の今迄知りませんでした。

 

 

 

「ラスト・キャバレー」昭和63年4月23日公開・じんのひろあき脚本・金子修介監督・日活/ニューセンチュリープロデュース制作・日活配給。

 

 

DVD化作品でU-NEXT/Amazonプライムビデオ内に於いて有料動画配信が行われています。尚、表題の通りGYAO!内に於いて「R15+版」が1/25(月)23:59迄無料動画配信されています。

 

 

 

 

 

 

時はバブル経済真っ只中の都心…愛娘のかとうみゆきを男一人で育てて来た大地康雄は個人経営のキャバレーの主。しかし時代の余波には勝てず駐車場用地としてこの土地建物を売却する契約を結び、残された営業期間は大凡二週間となっていました。それでもホステス募集の看板を下ろさずにいた為、ピンクサロンの人気ホステスであった橋本杏子が入店する事となるのです。

 

 

そしてその直後にこの店で行われた或る大学テニス部の新入生歓迎会で橋本さんは男子大学生に得意のフィンガー・テクニックを施した上に「簡単に金が稼げる!」と言い放った所、この会に参加していた女子大学生達が短期間高収入を目論み大挙…この噂が広まった事で店は最後の大盛況と云う言葉がぴったりと嵌る賑わいとなり、この様子を大地さんは嫌悪するどころか「過去の明るい雰囲気が戻りキャバレーらしい」と目を細めて喜びます。

 

 

しかし確実に近付く閉店日…大地さんはかとうさんとヘッドマネージャーの草薙良一と共に「顧客カードを元にした閉店パーティーの招待状送付及び戸別訪問による案内告知」を始めるのですが…

 

 

 

 

 

 

当作品公開から数か月後に日活ロマンポルノは幕を閉じ「ロッポニカ」と名前を変え日活は再度一般映画主体となりますが、それを暗示したのかと感じさせる「終幕直前の打ち上げ花火の様な演出と映像美」(当作品公開当時俺自身は高校生でしたから勿論これを肌で感じてはいません。後から解った上での事ですが、当時の観客達の中にも同様の思いを持たれた方は多かったと推測をします)が印象的ですし、前半は「艶笑」後半は「人間ドラマ」と、実質二部構成。

 

 

特に観るべきは後半の「人間ドラマ」。大地さんの過去を知る元・ホステスとして「ロマンポルノ常連女優」の風祭ゆき・岡本麗を配しこのお二方をかとうさんが訪ね「未知の父親像」を知る事となるだけではなく、別居となりながらも親子の絆は寧ろ深まり情交話を酒を交えて話せる迄になる(高校生と解っていながら父親が愛娘と酒宴となる等以ての外との意見がこの息苦しい世の中では多く聞こえて来そうですが、俺に言わせれば映像作品は庶民の娯楽かつ創作ですからこの様な演出は大いに歓迎しますしこれからもどんどん遣れと…そして俺の家族・親類もそうですが、俺の時代は親子でこの様な事は日常茶飯事でしたしその位の方がずっといい家族関係及び時代だったと確信をしています)。更に風祭さん・岡本さんが大地さんを未だに人間として慕っている事が伝わって来ましたし(因みにこのお二方の他に江崎和代・橘雪子も最後のパーティーの場面に登場します。この辺りも「終焉」を思わせる一因です)「俺はこの仕事が好きなのではなく大地さんが好きだからこの店に勤めていた。だから次職は全く別の業種となる」と言い放った草薙さんの言葉が重く響きます。

 

 

そして大地さん・かとうさん・橋本さんの「キャバレーへの別れ」の場面も非常に情緒的な演出。

 

 

「人間同士の信頼関係や絆を静かに奥深く見せた良質のロマンポルノ作品」の一つであり、同時に「大きな支持を得ている「現代指向の健全性」何ぞ足元にも寄せ付けない硬質・高質を持っている」とも感じました。

 

 

最後に、かとうさんのインタビュー記事のリンクを貼ります(上・平成30年時点/下・令和2年時点)。もしよろしければご覧になってみて下さい。