決死の覚悟で辿り着いた駆け込み寺、しかし…東映京都「女獄門帖・引き裂かれた尼僧」牧口雄二監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

●お断り 本日紹介の作品は一般的なホラー映画・恐怖映画等々を凌駕する描写が多数含まれています。心臓の弱い方・夢に出て来る方等々苦手意識を持たれた場合は鑑賞を控える事をお薦めします。また「怖いモノ観たさ」等々によりどうしても鑑賞したいと云う事であればそれなりの覚悟を持ち、自己責任でお願い致します。

 

 

 

皆様、こんばんは。

 

 

昨日の記事更新後就寝し昼頃に起床しましたが、温度表示以上に暑く感じた一日でした。そして昨日迄の大凡一か月間は以前書きましたが「過去更新記事の再投稿」等々が半分を占めていた状態でしたが、本日以降の更新は(毎週末の更新となります)業務上の勉強が一段落付きましたので新規作品紹介・再紹介作品の改定投稿に戻します。

 

 

 

さて「石井輝男監督の異常性愛路線の正統な後継者」と言われている牧口雄二監督…中島貞夫・山下耕作を中心として鈴木則文・そして石井センセイ等々の下で助監督家業に邁進し監督昇格を果たした時には劇場公開作品の状況は更に斜陽していた上に、新たな監督が頭角を現すには「ピンク映画・ポルノ映画・際物映画」等々しか無かった(又は手っ取り早かった)為、元々温厚で生真面目な性格の牧口監督はその性格を生かし(?)昭和50年代前半の「添え物作品群」で頭角を現します!本文に入る前にあの様な注意書きを添えましたが、本日紹介の作品は明らかに傑作!「これが「暴れん坊将軍」で視聴者の心に響くいい物語を演出していた方の作品なのか?」と、時代劇監督としての活躍を先に知っていた俺は初見時に思いましたが「悪・妖艶等々をきちんと成立させられるから良質な物語もきちんと出来るもの」ですもんねぇ…

 

 

 

「女獄門帖・引き裂かれた尼僧」昭和52年4月8日公開・島守俊夫原作・志村正浩脚本・牧口雄二監督・東映京都制作。

 

 

DVD化作品でU-NEXT/Amazonプライムビデオ(JUNKFILM by TOEI対象作品)内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

年季奉公が明けて晴れて自由の身になり郷里に帰る事を心待ちにしていたものの、知らぬ内に別の飯盛女郎屋に売り飛ばされる事を知り「名高い駆け込み寺」を目指して逃げ出した田島はるかは、片桐竜二・野口貴史からの輪姦(野口さんがご逝去されていた事が最近解った模様です。この場を借りてご冥福をお祈り致します)や食料を分けてくれた行商人の成瀬正孝との出逢いを経て追手の汐路彰・佐藤蛾次郎を振り切り、折口亜矢が住職を務めひろみ麻耶・芹田かおり・藤ひろ子が住み込み尼僧となっている寺院に入る事が出来ました。

 

 

 

 

 

 

しかしこの寺院の小間使いを務める佐藤美鈴は一言も言葉を発さぬ不気味さを醸し出し、折口さんは普通に煮えても他の尼僧達には怪しい雰囲気が付き纏う…そして田島さんはほぼ時を同じくして駆け込んだ五十嵐義弘・内村レナに対して尼僧達が行った事を知り、半狂乱で寺院を飛び出したのですが…

 

 

 

 

 

 

出演者全員の欲望全般に対する貪欲さ、特に「生と性」に関してがこれでもか!と云うだけ吐き出されており、これが「行き過ぎた生命力に繋がっているんだなぁ…」と感じる程。そう云えば昨日のニュースでは「今年に入り自殺者が増加し、特に20~40代の女性の自殺率が急激に上昇した」とか…そして過去には「人間は全ての欲を無くした時が最も自殺に至る可能性が高い。そして「生と金」に対する欲が失われていなければ自ら死を選ぶ事は皆無に等しい」とも。その点で考えると「恐怖映画・エログロ映画」ではあるものの「反面教師として様々な事を教え意識させてくれる、出来るだけ一人でも多くの方々に今だからこそ観て貰いたい作品に該当する」と言えそうです(但し冒頭にも書いた通り、気が進まない場合は鑑賞はお薦めしません)。

 

 

物語も「ソクブン監督の盟友で脚本構成力では定評のある志村監督の手腕」がきちんと伝わって来ますし、描写は過激でも流れは整然と繋がっている為見失う心配は在りません。そして「汐路さんの怪演と源公の大爆笑の最期」「白粉を塗り捲った志賀勝の奇声と変態ぶり」「成瀬さんの真の姿と男気…しかし恐怖の尼僧達の前では悲惨過ぎる最期が待っていた…」更に「灰汁を吐き捲りの尼僧達の熱演」「心境の変化が立て続けに起こる田島さんの強かさと、一石二鳥にも見える汐路さん・源公との共同戦線」「結末に暗示されるこの寺院と折口さんの秘密の過去」等々、途中下車は許されないとも言える展開が満載です。