アンタ、あの子の何なのさ!松竹「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」早乙女愛/多岐川裕美/谷隼人 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

●この記事は一部修正の上、7/8(月)07:25頃に再更新をしています。




皆様、おはようございます。

 

 

昨日の夕方に起床をし「昼夜逆転」となっていますが、非常に過ごし易く、お陰様で酒の進みも快調!

 

 

 

さて、昭和50年頃「皮ジャンパー姿」を印象付けた矢沢永吉率いる「キャロル」に対し「デビュー時期が後となった為、皮ジャンパーを着ていたら「物真似」と散々言われ、たまたま「つなぎ」を着用した」と言われている、宇崎竜童率いる「ダウン・タウン・ブギウギ・バンド」。

 

 

「お互いにライバルとして敵視をしていた事」は宇崎さんも認めていますが(加えて「矢沢さんの様な遣り方は、わたしは体質的には出来ない」と、実績を認めた上でお話をされています)以前、レイザーラモンRGがNHK・FMの番組内で「好きなアルバム作品」としてダウン・タウン・ブギウギ・バンドを紹介していた際に「格好良さに加えて、楽しさがあった事」を称賛していた記憶が有ります。

 

 

因みに、俺も「キャロル」より「ダウン・タウン・ブギウギ・バンド」そして「矢沢さん」よりも「宇崎さん」が遥かに好きです(楽曲が俺の嗜好に嵌っていますし、矢沢さん以上に「観客視点での娯楽性を熟知している事」が理由です)。

 

 

「曽根崎心中」で共演された梶芽衣子とは友人だったとの事(現在の関係は不明です)宇崎さん・梶さん共に下戸ですから「これが共通項となって友人となったのかなぁ…」と私感ではありますが想像をしてしまいます。

 

 

 

そして、滑稽な雰囲気が漂う「カッコマン・ブギ」のB面曲でありながら「アンタ、あの子の何なのさ?」が大流行し、劇場公開作品化されたのが此方!

 

 

 

「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」昭和50年9月20日公開・阿木燿子原案・宇崎竜童音楽・山根成之/南部英雄の共同脚本・山根成之監督・松竹制作。

 

 

未VHS/DVD化作品で有料動画配信も行われていませんが、今月と令和元年8月の衛星劇場昭和を彩るスターたち~映画で見る青春の記憶~」の枠内の一作品として本日以降、7/13(土)08:30・7/22(月)11:00・7/30(火)18:00・8/7(水)11:00・8/19(月)19:30の五回放映されます(字幕付きHD放映)。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※衛星劇場の令和元年7月分の作品案内・放映日時案内は此方から/令和元年8月分の作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

当作品の冒頭は、現代で言う「プロモーション映像」と言ってもいい「ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの面々が登場する映像」に乗せて(本篇内では「食堂の客である現場作業員」として数十秒の出演をしています。因みに当作品公開三週間前に封切られた東映東京制作「トラック野郎・御意見無用」にも「給油所の店員」として出演。此方は今月の東映chで放映中です)締めは「クレジット」に乗せて、レコード/CD等々の音源とは少々異なる録音の「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」を楽しむ事が可能です。

 

 

そう云えば、日本の映像制作会社各社の殆どの制作作品のクレジットに於いて「出演」と表記をする様になってからも「配役」と云う表記をこの頃迄多用していた松竹ですが、当作品に於いては「当時予想された観客年齢層」「作品の持ち味」等々を考慮したのでしょうか?「出演」の表記が使用されています。

 

 

 

失踪した実姉「ヨーコ」(最後迄姿は出て来ませんし「洋子?陽子?葉子?容子?曜子?」等々「表記も不明」です。「ヨーコ」を著名人や鑑賞者其々の周囲の同名の方に置き換えさせる等々「観客に「ヨーコの像」を完全に委ね楽しんで貰う要素」を備えていますし、制作陣の意図もそこに在ったのではと推測をします。因みに俺は「宇崎さんの奥様」かつ「原案担当」と云う事から「燿子」として観ていました)を探す為に鹿児島から上京した早乙女愛。

 

 

住み込みで生活費を稼いではいるものの「非常識・無気力・無成長・不愛想・遅刻/中抜けの常習(勿論「姉の情報を聞き付けて確認に赴く為」ですが…)」等々により何処の職場に於いても長続きせず、同郷の同級生で「自称・自動車販売会社の営業担当者。実はトルコ嬢をヒモとしている女たらしだが、姉探しに手を貸す優しさが光る」谷隼人に「腰を据えられないのは姉のヨーコと瓜二つ!」と嫌味を言われる始末(因みに愛さん・谷さん共に「鹿児島県出身の役者」です)。

 

 

 

 

 

 

或る日、猛暑と空腹が原因でふらついていた愛さんは、赤信号を横断中に森次晃嗣が運転する自動車に接触された事を切欠に、森次さんの交際相手である「穂積隆信の元で雇われているママ」松坂慶子の取り仕切るゴーゴークラブに赴いた際「踊りの才能」を見出された上に「踊りがヨーコに似ている!」となり、森次さんや松坂さんが「姉探しに協力をする事」を条件に専属のダンサーとなりますが「過去にヨーコとゴーゴーの対決をした事が間接的な原因となり、足が不自由になった令嬢」多岐川裕美と、多岐川さんが推す「次世代を担うゴーゴーの新星」原田美枝子と火花を散らす事に!

 

 

 

 

 

加えて「ヨーコを好いていた、ヨーコを探す得体の知れぬ親切な紳士…しかし実態は刑事」である地井武男が現れ「姉探し」に暗雲が立ち込め始めるのです。

 

 

そして舞台は横浜から横須賀へ移り、地井さんに呼び出され「ヨーコを名乗るこの女が姉ではないか?」と、愛さんはキャシー中島と逢ってはみたものの別人であった上に「ヨーコが或る事件に関わっていた疑いが浮上し、更にその関係者が殺された事案」でヨーコは指名手配され…

 

 

 

 

 

「ヨーコの回想」については歌詞内容に相当に忠実に描かれていますが「歌に於いてヨーコを探しているのは交際相手の男性か片思いの男性」と云う雰囲気(私感)に対し「肉親捜しの作品」としたことは映像作品として、そして「松竹の持ち味」からして正解であったと思います。

 

 

「男性がヨーコを探し続ける物語」となると「男の弱さや女々しさばかりが前面に出されるか、完全なる男性目線に偏った内容となった恐れ」が在ったでしょう…「あくまでも歌詞内容は「姉探しの回想」として利用をするに留め、世間知らずの愛さんが遅々としたものではあるものの、姉探しを通じて成長をすると共に最後には自らの立ち位置を見付ける筋書きとした事」「歌詞内容に通ずる男性像を、完全な形ではないものの助演として谷さん・地井さんに役割を分担させた上で委ねた事」「愛さんVS原田さん・松坂さんVS多岐川さんと云う「女の意地を賭けた戦い」にヨーコを上手く絡めた中盤の流れ」等々が生きており、俺は「歌謡映画の類」としては「爽やかな青春群像劇」よりも当作品(そして東映東京「夜の歌謡シリーズ」等々の「スケコマシ作品」)の方が好きです。

 

 

「谷さんのスケコマシ役」は終盤で「嗚呼…やはり梅宮辰夫の様にはなれないんだなぁ…と云う趣で生活の実態を愛さんに告げる姿」が非常に良かったですし(これは東映で辰ちゃん等々の「スケコマシ芝居」をきちんと吸収していたからこそ成り立ったものでしょう)「地井さんの刑事役」は「何時実態を露にし、愛さんを裏切るのか?」と云う期待感を巧く醸し出しているのが好印象!(この頃の地井さんは「完全な善か?悪か?=両極端な役柄が非常に多かった」と云う印象を、私感ではありますが抱いています)

 

 

「人の気持ちを動かし影響を与えるのは、物量作戦ではなく無償で与える人生観や生き様そのものである」「姉と同じ価値観・軌跡を辿る必要は無い!加えて、追わぬ・探さぬ姿勢で相手の思考・行動等々を認めて、肉親を頼らず生きる決断が必要である場合も在る!」と云う事をさり気無く教えている面も美点!

 

 

「昭和50年当時の流行・風俗」等々が彼方此方に散りばめられている面も、当時の風情を体感されている方々にとっては懐かしさとして映るものと思います(俺は当作品公開時点で既に出生していましたが、まだ三歳でした。「体感した風情が懐かしく映る作品群」は、或る程度記憶が残る「昭和52.3年以降の作品群」となります)。

 

 

 

 

 

 

松竹作品でありながらも、当時東映専属であった多岐川さんや(但し松竹作品には当作品よりも前に制作されている「続・愛と誠」に出演をされています)団巌、東映専属経験のある谷さん(但し「俳優デビュー」は日活です)東映常連の地井さん・森次さん(但し森次さんは「東映作品ではテレビドラマ作品主体」かつ、当作品公開の数年前迄一時的に松竹と専属契約を結んでいます)、当作の後に東映作品に頻繁に出演をする様になる愛さん・原田さん・当作品時点では「松竹専属」であった松坂さん(但し「女優デビュー」は東映かつ、大映専属女優の経験が有ります)そして宇崎さんと「東映の味が強い作品」でもあります。

 

 

 

因みに、調べてみると「ゴーゴー対決」に臨んだ愛さんは昭和33年12月29日生まれ、原田さんは昭和33年12月26日生まれと「出生日が三日しか違わない、当時18歳同士の真剣勝負=物語を超えた対抗意識が名場面を生み出した感」を抱きます。

 

 

「まだあどけなさが残る愛さん・年齢以上の色気を既に振り撒いていた原田さん」と、好みは完全に二分されるでしょうが、俺は「18歳の時点」では原田さんが好み…しかし「20代後半以降」は甲乙は付けられない、御二方共好きです。