売れない楽隊が変わる切っ掛けとなった悲劇とは?日活ロマンポルノ「赤い暴行」曽根中生監督 | 東映バカの部屋

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皆様、こんにちは。

 

 

今朝の7時に勤務を終え、月曜日8時の勤務開始迄の休みに入りました。

 

 

 

本日は簡単に「日活ロマンポルノ」から!

 

 

 

「赤い暴行」昭和55年1月5日公開・佐治乾脚本・曽根中生監督・日活制作。

 

 

DVD化作品ですが有料動画配信は有りません。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

売れていない現状を素直に受け止めず努力や精進を怠っているにも関わらず、表向きの行動や現状だけは一流を装う四人組男性の楽隊。

 

 

しかし「女遊び」だけは盛んだったものの、其々が「売れない楽隊は嫌いと言われ捨てられる」「紐同然の生活を送っていたものの返済を求められた事が原因で捨てられる」「最も生真面目で融通が利かないが、交際相手に所帯染みた雰囲気を感じ決別する決心が出来る感覚は持っている」「楽隊仲間と交際相手の奪い合いとなり負け、好意を抱いていたファンの女子高校生を付け狙い始める」現状で、更にはそれ等の苛立ち等々が「無意味な喧嘩」に発展してしまう事も多々…

 

 

そんな或る日、練習日に一人が遅刻をした事が原因で「一触即発かつ楽隊崩壊の危機」を迎えましたが気持ちを入れ替え臨んだ楽曲には、従来の演奏では現れる事の無かった響きが…

 

 

実は「遅刻した一人」は練習当日に「ファンの女子高校生」と初めての情交を果たしたものの、次回の再会を約束し別れた直後に自動車事故に遭い、それに付き添っていた為なのです(安否は描かれていません)。

 

 

その事を「遅刻の理由」としなかった事が「最大の危機」に陥った原因では有るものの、四人全員の気持ちは「異性に関する事で苛立ち、衝突もしたが、全員の心を繋ぎ止める物は音楽しか無い」となっており、この日が再出発となるのです。

 

 

 

 

 

 

 

全般に虚脱感と虚飾感が有る上に、暗い雰囲気が漂う為に「好き嫌いがはっきりと分かれてしまう作品」であるとは思います。

 

 

「一服の清涼剤」となる場面は、特別出演の内田裕也が楽隊の一人に声を掛け激励をしてくれたものの、その交際相手が「内田裕也なんて大嫌い!」と「裕也さんに聞こえる距離と声で言い放つ場面」のみですし…

 

 

しかし「虚脱感と虚飾感からは何も生まれない事に気付く切っ掛けと、その効果の絶大な効果」等々を「現代の大部分の軟弱連中に少しでも気付いて貰う意味」では、是非共多くの方々に鑑賞して貰いたい作品でもあります。

 

 

「大学在学中は官能小説を中心とした投稿作家として多額の賞金を稼いだ」と言われている名脚本家・佐治先生の書かれた「脚本の奥深さ、守備範囲の無限さが生み出した老若男女を問わず観る人々を引き摺り込む展開」そして、演出/脚本共に優れた腕を持っていたものの「商業目的化しそれに迎合せざるを得ない状況で出来上がった作品への自己嫌悪に耐え切れず、監督業を止めた」と生前お話をされていた曽根監督の心情から察するに「当作品は本当に作りたかった作品に出逢った曽根監督が、それ迄以上の力量を発揮しながらも、決して押し付けにはなってはいない観客目線第一で佳作を作り上げたのでは?」と感じ取る事も出来ます。