(追記有)「兄・妹」と切り出せない恒さん・遼子姐様。東映京都「女番長(スケバン)タイマン勝負」 | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

●この記事は平成29年3月30日(木)22:00頃に追記の上、再掲載をしています。

 

 

 

皆様、こんにちは。

 

 

休み二日目。晴天ですが毎年この時期から花粉と黄砂が気になり出しますね。

 

 

俺は軽い花粉症ですし、自家用車は黒ですので車体の汚れがどうしても気になってしまいます。

 

 

 

さて本日は「狂犬時代の恒さん」が出演された一作品から。

 

 

現在東映chでは「ミッドナイトシアター」の枠内でこのシリーズを月に一作品ずつ、公開順に放映をしていますのでこのまま進んで行けば、今年の5月に放映されるものと推測します。

 

 

「女番長(スケバン)タイマン勝負」(「女番長(スケバン)」シリーズ第六弾)昭和49年1月15日公開。鴨井達比古/志村正治の共同脚本・関本監督・東映京都制作。

 

 

VHS/DVD化作品ですが有料動画配信は有りません。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

「仁義なき戦い・頂上作戦」(「仁義なき戦いシリーズ」第四弾。飯干晃一原作・笠原先生脚本・サクさん監督・東映京都制作。VHS/DVD/ブルーレイ化作品でYouTube/iTunes/GooglePlay/Netflix/ニコニコ動画/Hulu/TSUTAYATV/GYAO!ストア/ひかりTVビデオ/Amazonビデオ/楽天ShowTime/ビデオマーケット/DMM.com/bonobo内で有料動画配信が行われています)の併映作品です。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

●東映公式・YouTube予告動画(上)/プレビュー動画(下)

 

 

 

 

 

 

 

 

関本監督の「二つの初監督作品」の内の一つです。

 

 

理由は…当初は叶優子が主演を務めたシリーズ第七弾「女番長(スケバン)玉突き遊び」(松本功脚本・東映京都制作。DVD化作品ですが有料動画配信は有りません。KINENOTEの作品案内は此方から可愛らしいが男勝りの度胸を見せる優子さんが物凄くいい!シリーズでは一番好きかなぁ…俺は。全作品僅差の面白いシリーズではありますが…)が「第六弾」となる予定でしたが、主演の優子さんが撮影中に重傷を負い製作が中断。

 

 

 

 

 

 

しかし「未完成・未編集のフィルムを見た岡田会長が関本監督の手腕を認めた事」「主演の優子さんは怪我に見舞われながらも「この作品、降りませんよ」と言い放った役者根性」が実を結び数か月後に撮影が再開され、公開に至りました。

 

 

その「間合い」の仕事として関本監督が手掛けたのが「タイマン勝負」。よって「初監督作品が二つ存在する(初演出作品と初公開作品が違う為)」と云う事になっています。

 

 

 

関本監督は京都で生まれ育ち、高校卒業後に東映京都撮影所の美術課に配属されたものの、自ら希望し演出部に異動。更に岡田名誉会長(当時の東映京都撮影所所長兼映画本部長)に自らが書いた脚本を直に持ち込み添削をして貰いながら修行を重ね(岡田名誉会長が社長職に就任し東京本社に異動後も郵送で継続していたそうです)その姿勢が岡田名誉会長に気に入られ「監督昇進」を果たした「努力の人」です。

 

 

 

姉を死に追い遣った組織の組長(安部徹)に刺傷を負わせ、少年院送りになった玲子姐御の「復讐劇」が主な流れなのですが…

 

 

同時並行で描かれるのが、娑婆に出てから出逢った女番長(衣麻遼子)と東京の大組織の若い幹部(恒さん)の「孤児院で育った実の兄妹」が「自らの落ちぶれた現状を理由に、お互いに兄妹と呼ぶ事を躊躇する姿」。

 

 

「兄が今の私の姿(=元女番長で女給)を見たら落胆して怒るだろうなぁ…兄は「大学に行け!」と言われた秀才だったし…」と話す遼子姐御に対し「食うか食わずの毎日だったから、俺は妹を食わせる為なら何でも遣った。その結果が「殺人の前科を持ち、本名をも語る事の出来なくなった」今の姿…妹が見たら悲しむだろう…」と話す恒さん。

 

 

お互いに「兄妹」と中々言い出せない状況が、安部さんの謀略によって更に困難な状況に陥ったものの、やっとの思いで「封印」を切り打ち明けたその瞬間、二人は凶弾に倒れ息絶えます。

 

 

 

「主」である筈の「玲子姐御の物語」より「恒さんと遼子姐御の物語」そしてもう一つ同時並行で描かれる「少年院時代の頭で敵対していた藤山律子とその亭主である成瀬さんの夫婦愛と強引な土地買収に巻き込まれる姿」の方が記憶に強く残る作品。

 

 

恒さんは「狂犬」の味を見せながらも当作品では控え目…寧ろ「立場上、普段は見せる事の出来なかった心の奥底に流れる兄弟愛と最後は人としての筋道を貫いた男気」を存分に感じさせています。

 

 

 

勿論「東映のお家芸」である「大馬鹿笑い」「反骨精神」も存分に楽しめます!

 

 

「田舎に美味しい空気を吸いに行こう!」と盗んだ自転車で出かけたはいいが(この場面で挿入されたキャロルの「ファンキー・モンキー・ベイビー」が軽快さを更に際立たせています)拾った野良犬を可愛がるのかと思いきや…

 

 

次の場面ではその野良犬をバラして食料品店の出入り口で「ホルモン」と称して売!

 

 

第一次オイルショックの記憶が鮮明だった為なのか「当時の政府の経済対策や各企業の経営姿勢に対し疑問を呈す台詞をサラリと言わせる姿勢」はさすが東映製作陣!

 

 

 

そして「オープニングテーマ」を聴いた時「何かに似ている…」と思い調べた所…

 

 

音楽の担当は広瀬健次郎。

 

 

当作品公開後の昭和49年3月1日に封切られた「まむしの兄弟シリーズ」第七弾かつ俺がシリーズで一番好きな「まむしの兄弟・二人合わせて30犯」(鴨井達比古脚本・栄一監督・東映京都制作。VHS/DVD化作品でDMM.com/GYAO!ストア/U-NEXT内で有料動画配信が行われています。又、東映chで今月から開始されている「連続放送!!まむしの兄弟」の枠内に於いて平成29年5月に放映されるものと推測しています。KINENOTEの作品案内は此方から)のオープニングテーマと非常によく似ていましたが…此方の音楽担当も広瀬さん。

 

 

「同じ方が極めて近い時期に二つの作品の音楽を手掛けられていた」と考えると納得です。

 

 

 

 

 

 

「タイマン勝負」他の出演者は…須藤リカ・一ノ瀬レナ・田島晴美・愛田純・白川みどり・高野恵子・内田勝正・広瀬義宣・高並功・葵美津子・中村錦司・疋田泰盛・箕輪田良太・早乙女りえ・由利ちゃん・岡八郎等々です。

 

 

 

最後に「恒さん出演作品」では、4月の東映ch「ミッドナイトシアター」の枠内で4/21(金)25:30~27:30・4/27(木)24:30~26:30の二回放映される「女番長(スケバン)シリーズ」第五弾「女番長(スケバン)感化院脱走」(昭和48年5月24日公開・鴨井達比古/中島村長の共同脚本・中島村長監督・美樹様主演・東映京都制作。VHS/DVD化作品ですが有料動画配信は有りません)も「お薦め」です!

 

 

「狂犬らしさ」は「タイマン勝負」より「感化院脱走」の方が明らかに上回っています!

 

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※東映chの作品案内・放映時間案内は此方から

 

 

 

「美樹様との相性が最も良かった俳優」はやはり恒さん!

 

 

恒さんは「美樹様は玲子姐御への対抗意識からなのか勉強家でもあったし、スパッとした引退の仕方も好き」と評価をされていましたし「近年、美樹様が多くの方々から再評価をされている事」に関しても納得されていました。(徳間書店・刊「東映スピード・アクション浪漫アルバム」内に於ける杉作大先生との対談より、原文のままではありませんが抜粋しました)

 

 

 

●追記はここから

 

 

もう一本「美樹様主演・玲子姐御助演」の「女番長(スケバン)シリーズ」と同時期に東映京都で制作された「舞台を女子高校に変えただけで中身はほぼ同様」の姉妹篇「恐怖女子高校シリーズ」第二弾「恐怖女子高校・暴行リンチ教室」(昭和48年3月31日公開・鴨井達比古脚本・ソクブン監督。DVD化作品ですが有料動画配信は有りません。東映chでの放映実績が数年前に有ります)にも恒さんが「元新聞記者の強請屋」として登場しますが…

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

恒さんの格好良さだけではなく「石原仙太郎・佐藤茂・中田角造等々「何処かで聞いた事の有る役名」を持った悪役軍団(配役は其々今井の健さん・ネコさん・北村英三)の面白さ。更に名和センセイ・近藤宏・田中小実昌等々も登場!」「ネコさんの電動こけし使用時の大馬鹿芝居!」「セーラー服軍団と機動隊の、全学連闘争をも思い出させる迫力!」「日の丸=国旗を焼き払ったセーラー服軍団!」等々「破壊力・面白さ・楽しさ抜群」の痛快学園物語!

 

 

「女番長組織同士/ヤクザ組織同士の衝突の舞台を女子高校に変え、校内の不良組織の衝突と奥深い人間模様を絡めた物語」と考えて貰えればいいです。

 

 

 

ソクブン監督の意向として「若年層に見て貰いたかった為裸や交尾の場面を少なく、端的に描き成人映画指定を回避させた」事が知られていますが、それでも「観客目線に十二分に応える面白さ」「淫靡さ・色気も満点」の優れた娯楽作品を完成させたのですから「さすが娯楽映画の職人かつ名手・ソクブン監督」です!

 

 

当時、玲子姐御を除くと殆どの女優陣が既に二十歳前後を迎えていましたが、それ等の方々が見せたセーラー服姿は「可愛らしさより大人の色香」が先行している上物凄く綺麗!

 

 

しかも「セーラー服=戦闘服」なのだから…可愛いだけの女優や歌手が纏うより数倍も似合うし惹かれます!

 

 

現代の「爽やかな学園物語」を好まれて鑑賞されている方々が「恐怖女子高校シリーズ」を鑑賞されたとしたならば、恐らく半数近くの方々は「この作品の面白さに嵌り、同時に現代の清らかな学園物語は非常につまらなく、毒にもならなければ棘にもならない表向きだけの「お涙頂戴作品(俄感動作品)」がほぼ全てである事にお気付き頂ける」と確信しています。