冒頭から首が吹っ飛ぶ痛快娯楽ポルノ!東映京都「ポルノ時代劇・忘八武士道」丹波の御大/石井センセイ | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み最終日、本日は晴天の秋田市内ですが…この時期になると朝晩の冷え込みが身体に応え、勤務先でも体調不良を訴える者が急増しています。

 

 

今回の休みは「一日延長戦=休日出勤」となり、昨日6時の勤務終了時から明日8時の始業時迄の50時間休みとなっています。

 

 

 

今月の東映ch「ミッドナイトシアター」の枠内で、以前から「観たい!」と思っていた作品をやっと鑑賞する事が出来ました。

 

 

 

「ポルノ時代劇・忘八武士道」昭和48年2月3日公開。小池一雄/小島剛夕の共同原作・佐治乾脚本・石井センセイ監督・東映京都製作。

 

 

DVD化作品ですが、有料動画配信は行われていません。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※東映chの作品案内・放映日時案内は此方から(今月放映予定分は既に終了しています)

 

 

 

併映作品は同じく東映京都製作「セックスドキュメント・エロスの女王」ですので「ポルノ週間」だったのでしょうね。

 

 

金子武郎/中島村長の構成で中島村長が監督!

 

 

解説はネコさん!

 

 

…ソフト化も有料動画配信も有りませんが「日の目を見られないのが勿体無さ過ぎる傑作!」である事は間違いないでしょうねぇ…ネコさんですよ!

 

 

 

「丹波の御大が当作品の原作となった劇画の大ファンで、自ら東映に企画を持ち込んだ」との話も有ります。

 

 

数え切れないだけの東映製作の劇場公開作品に出演していた上に、東映が手掛けていた「JNN系列毎週土曜21時の東映製作のドラマ枠」の顔を約14年間に渡って務められたのですから…娯楽をきちんと解っている御大は「東映なら出来る」と考えたでしょうし、東映側も「先が見込める企画である上、御大への謝意として製作を決断した」と考えます。

 

 

 

 

 

 

「孝・悌・忠・信・礼・義・廉・恥」の「八つの徳」を忘れた(捨てた)「人にして人に非ず・人の姿を借りた鬼畜外道の無法者の集まり」が「忘八」。

 

 

 

「人斬り死能」と恐れられていた無法者・明日死能(丹波の御大)は御用提灯に追い込まれ川に飛び込み、一命は取り留めたものの、助けたのは吉原の忘八一味!

 

 

女の肌で温められ蘇生した際「地獄から生き帰ったのだから女の地獄で過ごすのも一考では?」と「忘八入り」を薦められた御大でしたが、試験で「捨て切れなかった僅かな良心」が仇となり、一度は親玉(エンタツさん)やその右腕(伊吹の角さん)等々に消されかけます。

 

 

しかし、御用提灯を次から次へと切る御大の「見事な剣の腕」を目にしていたエンタツさんは御大を客分として迎え入れた上に、組織の家宝とも言える銘刀を与える事になるのですが…

 

 

 

 

説明云々より「実際に鑑賞して頂く事」で面白さ・楽しさ・奥の深さを感じて頂きたい傑作!

 

 

冒頭から首が吹っ飛ぶ時点で御覧になられる方々の期待度は頂上に達する事になると思いますが、その期待に十二分に応えています。

 

 

性描写の濃度は石井センセイらしい「ねちっこさ」ですが「徳川いれずみ師・責め地獄」「やくざ刑罰史・私刑(リンチ)」と比べると「陰惨さ」は若干和らいでいますので万人向けとも言えます。(但し「陰惨さに関する尺度」は個人差が大きい為、これ等の描写が苦手な場合は「それなりの心の準備」をお願い致します)

 

 

江戸幕府の時代なのに、遊女と共に屋外に放り出される町人の役名が「小島慶四郎」!しかもご本人が演じられている!そんな「小技」も効いています!

 

 

丹波の御大の「立ち回り」は「バレエの様にしたかった」との事で「或る工夫」が為されていますので其方にも注目です!

 

 

 

この頃「ウルトラセブン」内に於ける女性隊員役から発せられていた印象からの転換を見事に成功させ「女の魔性を吐き出させたら一・二を争っていた」ひし美ゆり子も素晴らしい!

 

 

因みに俺は「ウルトラセブン時代より、この時期のゆり子嬢」の方が圧倒的に好みです。

 

 

 

この時期、石井センセイは東映で当作と「現代任侠史」(健さん主演の「現代ヤクザと任侠の融合とも言える作品)「地獄拳シリーズ」(千葉ちゃん主演の大馬鹿映画)「緋ちりめん博徒」(「緋牡丹博徒シリーズ」の後継作品…とは言い難いですが、新たな「女博徒作品」を目指した作品)等々「全く毛色の違う作品を、同時期に手掛けていた事」も特筆すべき事項。

 

 

一般的には「現代任侠史」「ちりめん博徒」の評価が今一つですが、当時の水準から見ても「娯楽性で見た場合は相当に高い出来具合。しかも、石井センセイが嫌いな「整合性が確立されている作品」でもきちんとした仕上がりを見せ付けています。

 

 

勿論これは既に「網走番外地シリーズ」「ギャング映画群」「新東宝時代の作品群」等々で既に立証されている事ですが、同時期にこれ等を遣って退けた事が非常に大きいです。

 

 

 

因みに、石井センセイは丹波の御大に関して「まぁ…丹波ちゃんなんて、台本渡しても覚えませんしねぇ…鶴田浩二がその事に悩んで考え込んでしまっても「鶴田、もういいよ!先行こう!先!」と云う様な調子で…とにかく即興が出来ない役者は駄目だった」と…

 

 

そして、石井センセイの作風を「キネマ旬報」内で痛烈に批判された映画評論家で教育研究家の佐藤忠男氏に関しては「俺は同じ「キネマ旬報」で「佐藤忠男は観念馬鹿だ!」と遣り返した!佐藤氏も風潮に乗せられて書いたのかもしれないが、大体あの人が評価する映画は客が入らない物ばかり…」

 

 

この石井センセイのお言葉ですが「数多くの映画評論家連中と観客側の視点の大きな違い・「いい作品を教えてやるぞ!」と云う評論家連中の読者・観客等々を完全に見下した態度」を鮮明にしています。と同時に「製作者/役者陣の娯楽に賭ける真摯な姿勢・常にお客様以上に低い目線で物事を追いかけ考え、作品に存分に生かしていた事」を裏付けています。

 

 

 

他の出演者は…久野四郎・佐藤京一・原田君事・相川圭子・池島ルリ子・一の瀬レナ・深江章喜・内田の良さん・小林千枝・北川マキ・笹木俊志・鈴木康弘・拓ボン・浪花五郎・野口貴史・高並功・人見きよし等々です。