「人間爆弾・桜花」を取り上げた日活戦記映画「花の特攻隊・あゝ戦友よ」晴美さんの日活出演二作目 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます。


休み最終日、晴天ですが風が冷たい秋田市内です。


7月に入り既に下旬…それなのに日中でも窓を開けておけば扇風機が要らない状況は、この時期としては非常に珍しいです。



初めに…この記事を書いている途中「クイズダービー」「こんなものはいらない」等々で「楽しませてくれながらも社会の不条理に対して鋭く斬り込んでくれた」大橋巨泉氏が逝去されたと、速報で入って来ました。


ご冥福をお祈り致します。



本日も晴美さんの出演作品から紹介させて頂きますが、東映作品ではなく日活作品から…



昭和45年~46年の間、晴美さんは日活製作の「斬り込み」(渡社長主演)を皮切りに「反逆のメロディ(原田さん主演)」「関東流れ者(渡社長主演版)」「関東破門状(渡社長主演版)」(「関東流れ者」「関東破門状」は全く同じ題目ながらも全くの別内容で昭和40年に東映京都が鶴田のおやっさんの主演で製作しています。おやっさん版「破門状」にも晴美さんは出演。あくまでも私感かつ贔屓目も有るのですが、両作品共に東映京都/鶴田のおやっさん版「流れ者」「破門状」の方が好きです。但し一般の知名度・認識度・作品評価は渡社長版の方が若干上となっています)と、これからご紹介させて頂く五作品に出演されました。



主演の杉様等々を束ねる上官の役で、当時としては珍しい「善人役」でしたが、既に「周囲を引き立てる立ち位置」を確立さてていた晴美さんだけに「善人役、しかも自分より若い役者の持ち合いを生かす為の芝居」でも全精力を注がれていた事に気付かされる作品です。



「花の特攻隊・あゝ戦友よ」
昭和45年5月16日公開。川内康範原作・中西隆三脚本・森永健次郎監督・日活製作。



VHS/DVD化作品でGYAOストア/YouTube内で有料動画配信が行われています。又、平成26年?27年?にchNECOでの放映実績が有ります。







※KINENOTEの作品案内は此方から




●NIKKATSUチャンネル公式・YouTube動画(作品を一部抜粋した動画です)









学徒出陣の命を受けた杉様とその仲間達の物語である為、学徒動員の歌「あゝ紅の血は燃ゆる」が冒頭から力強く流れます。(余談ですが、軍歌を「当時の世相を知る上での貴重な遺産」として自らマイクを持ち生涯歌い続けた鶴田のおやっさんも学徒動員組だった為か「あゝ紅の血は燃ゆる」の歌唱の際は「同期の桜」とほぼ同じくらいの気持ちが籠っていた様に感じます)




物語は「杉様・オキマサ・フジタツの兄貴・長谷川明夫・浜田光夫・岡崎二郎・川口恒の戦友達の出逢いから別れ」「杉様と両想いだった和泉雅子との恋模様」「雅子さんと実弟(三ツ木清隆)の兄弟愛・そして杉様との師弟愛」に「丹波の御大・南原さん等々が手掛けていた人間爆弾の開発過程と実戦配備に至る迄の経緯」を並行して描いています。




最近になって「桜花」を取り上げた作品が製作された様な記憶が有りますが、昭和の時代に限って言えば当作が「桜花」を主題として取り上げた唯一の作品だと思います。(もし間違いが有りましたなら御容赦下さい)


開発に携わる側は最後の最後迄「無人誘導による爆撃」を目指していた事実。しかし結果が得られず「断腸の想い」で有人誘導による爆撃を決断した経緯もきちんと描かれています。(この点は「脱出可能」な兵器を目指しながらも、上層部の意向で有人誘導による特攻兵器となってしまった「回天」と似た経緯です)



杉様は一度出撃しながらも機の故障で突撃前に墜落させてしまい生還。回復後に南原さんの誘いを受け「第一回桜花特攻」の一人として出撃する姿で作品は終わります。



晴美さんの出番は序盤のみで出演時間も短いですが、威張る、というより「若き兵士たちの良き上官」という趣。


「悪の目」の時の凄味は物凄いモノが有りましたが、普段は非常に優しく、時には愛嬌さえをも感じさせてくれた目…当作では「後者の目力」が存分に堪能出来ます。



そして、これは「偶然なのか?意識したのか?」今となっては知る余地も有りませんが、「桜花」が最後に結果を出したのが昭和20年5月らしいです。(一機はは命中。一機は不発ではあったものの、米軍の艦船に大きな損傷を与えた上多数の乗組員を葬っています)


他は多くの方々がご存知の通り「重く・目立つ事も有り、到達も出来ずに母機共々墜落したり総攻撃を食らい全滅したり…」と散々な結果…


「5月に公開」「何か意味が有ったのか?」とも考えてしまいました。



他の出演者は…玉川の良さん・森塚敏・内田の良さん・青木義朗・加藤嘉・菊田一夫・郷鍈治・梶さん等々です。


日活作品ではありますが、顔触れは「当時及び昭和40年代後半の東映作品でお馴染みの役者陣」です。



最後に…「軍歌」や「日本の戦記映画」を「大日本帝国を美化している」「戦争賛美だ」と言い批判して、観もしなけらば知ろうともしない方々が、俺の実生活の周囲でも数多く居ます。


しかし「政治思想や個人思想の違い」「支持政党云々」を別として「当時の社会情勢や世相等々を知る上での貴重な遺産」として軍歌は今後も歌い続けて伝え続けなければならないでしょうし、戦記映画は「事実に近い当時の姿を映し出した映像」として見続けて行く必要が有ると俺は思っています。