「恋模様」の要素が意外と強い「見易いヤクザ映画」東映東京「現代やくざ・盃返します」文太さん | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます


休み最終日、ここ三日間では最も冷え込みの厳しい朝となった秋田市内です。快晴ですが…



昨日、悪友と昼飯を食った際、こんな話になりました。


「大部分の女子供が喜ぶ作品を現在の半分に減らしてでも、野郎の血が煮え滾る映像作品や歌を再興しなければ、古き良き時代の後世に遺すべき「良き物」が失われる上、日本男児の素晴らしい精神が失われてしまう!」


俺も全くその通りだと思います。


今は「臭い物には蓋をしろ」「精神論は古き悪い物」「表向きが磨かれたばかりの硝子の様な純粋で綺麗な物」等々ばかりが町や世間に溢れ「言動や行動の裏に秘められた人間其々の思いや本質」「義理人情や我慢」「軍隊教育(又はスパルタ教育)に代表される組織教育や精神論の持つ本当の意味」が疎かにされています。


製作や通常の放映がどうしても出来ないのであれば…この様な媒体を通して紹介し、一人でも多くの方々に目を向けて頂き一欠けらでもいいから何かを感じ取って貰いたい…


そして…もし興味が湧いたのであれば(鑑賞が困難な作品も有りますが)容易に鑑賞出来る作品が有りましたなら一作品でもいいから是非触れて貰いたい…


今後も「この思い」を肝に強く命じて様々な作品を紹介させて頂きますので何卒宜しくお願い致します。



さて本日は…今月の東映ch「「現代やくざ」シリーズ一挙放送!【菅原文太 男の生き方】」の枠内で放映されている一作品から…



※東映chの「「現代やくざ」シリーズ一挙放送!【菅原文太 男の生き方】」の総合番組・放映時間案内は此方から(東映ch内で番組間に放映されている「総合予告動画」も見る事が出来ます)



「現代やくざ・盃返します」(「現代やくざシリーズ」第三弾)昭和46年4月3日公開・大和久守久脚本・佐伯清監督・東映東京製作。


VHS化作品でDMM.com内で有料動画配信も行われています。


又、平成27年12月9日に
東映ビデオよりDVDが発売される予定です。(シリーズ第一弾「現代やくざ・与太者の掟」・シリーズ第二弾「現代やくざ・与太者仁義」も同日発売予定です。東映ビデオの発売案内は此方から








※KINENOTEの作品案内は此方から



当作品は東映chで10/21(水)13:00~14:30・10/30(金)22:00~23:30に再放映される予定です。(字幕付きHD放映)



※東映chの番組・放映時間案内は此方から



舞台は大阪ですが、撮影は東映東京ですから勿論東京近辺。


というのも、文太さんの実家を訪れた幼馴染の居酒屋の女将(野川の由美さん)が乗車していたバスは「山王バス」と社名は違っていたものの
塗色は小佐野先生が一代で築き上げた国際興業の路線バスそのもの!(青森・秋田・岩手には国際興業を親とするバス会社が各県一社ずつ存在する為解りました。以前は各社独自の塗色でしたが現在は路線バス・貸切バス共に僅かな車輌を除き親会社の国際興業と全く同じ塗色となっています)



「大阪国際空港の拡張工事に絡む用地買収の利権」を主題として「悪党組長(小池の朝さん)に振り回される一人の若衆(文太さん)が「良心と親子の縁」「組織と幼馴染(野川の由美さん)」等々の板挟みに苦悩する」内容です。


因みに…小池の朝さんと組む「もう一人の悪党組長」は
諸角の啓さん!可愛がっている殺し屋は汐さん!


対決する事になる「老舗の善玉組長は」水島の道さんで娘は工藤のアッコさん、この組の「暴れん坊」伊吹「角さん」で道さんから暖簾分けをして貰った「若き組長」は松方さん。



文太さんは朝さんに道さんを刺す様に命じられます。


「何であんないい組長を…」と「複雑な想い」を抱きながら、由美さんの店でコップ酒を口にし「もし何かあったらこの金を郷里の母親に届けてくれ…」と店を出て、犯行に及び出頭します。


数か月後、文太さんは面会に由美さんから「金は兄から「親不孝者!」と叩き返された事」「一命を取り留めたものの持病が悪化し道さんが亡くなった上、組が解散に追い込まれた事」「朝さんの組は空港利権を手にした上飛ぶ鳥を落とす勢いではあるものの街の評判が非常に悪い事」を聞かされます。


出所後、文太さんは一家を与えられ「組長」として君臨しますが、自らが犯した罪で解散に追い込まれた道さんの組の現在の様子が気になって仕方がない…


ここから「複数の板挟み」に遭い苦悩する文太さんの姿が描かれて行きます…



東映移籍後は「助演」として「落ち着きの有る侠客」を演じる事は有っても主演・そして多くの助演でも「無軌道な暴れん坊」が定着していた(と思われる)文太さん。


今回は珍しく
主演で「落ち着きの有る若衆」「苦悩の表情」で演じ切ります。


しかも
「両想いながらも「文太さんが好きでもやくざが嫌いな由美さんと、その事と「やくざでは由美さんを幸せに出来ない」と中々想いを伝え切れない文太さん」「恋模様」物語を転がす重要な鍵として使われているのも「当時の東映やくざ映画」には珍しい内容です。(同様の内容を持った「東映任侠映画」「東映やくざ映画」は勿論有りますが「描き方が端的」「物語の転換時のみに強調」「物語の途中で恋模様が断ち切られ、その後は男の物語一本で進められる」事が圧倒的に多いです)


「血」や「暴力描写」も珍しく「少な目」ですので
「東映・男の系譜」に初めて触れる方や「残虐な場面や血が苦手」という方々でもすんなりと鑑賞出来る点でお薦め出来ます。



しかし「この様な展開」が残念ながら一般的な評価が低い原因なのでしょうか…


シリーズの中では
「人気が余り無い」作品でもあります。


「現代に当て嵌めた任侠路線寄りのやくざ映画」としてはかなり出来はいいのですが…「笑いが少なく暗い印象」を持たれているのかもしれません。


「多様な展開を見せた東映やくざ映画の異色作品の一つ」として見直したい作品です。







他の出演者は…たこちゃん・谷村の昌さん・中田の博さん・中村竹弥・佐藤昂也・サワショウさん等々です。