「博奕打ちシリーズ」は全作傑作!シリーズ第9弾・東映京都「札つき博徒」鶴田のおやっさん。 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。


休み5日目…


相変わらず快晴でポカポカ陽気の秋田市内です。


前回の年末年始は通常の休日を含めて休みを5日間返上、去年の5月連休と盆休みは其々2日間しか取られなかった事が嘘のような連休です。


去年の分が今年返って来た、という様に考えて過ごしています。



さて本日は…


今月の東映chでの放映作品から。



題目に「博徒」と入ってはいますが、東映chの番組案内・KINENOTEの作品案内でも「博奕打ちシリーズ」とされている作品です。



(ウィキペディア「博徒シリーズ」内では「博徒シリーズ第八弾」となっています。しかし(この先は話が複雑になりますが)東映京都製作の「博徒」と付く作品(「博徒対テキ屋」や未見作品である「博徒七人」「三人の博徒」等々)は明治時代から戦前の昭和時代が舞台(未見作品に関しては相互読者さんの記事やKINENOTEを参照の上判断しています)東映東京製作の「博徒解散式」「博徒外人部隊」「博徒斬り込み隊」は公開当時の現在が舞台の為、私感ですが切り離して考える方がいいと思われます。


「東京の博徒シリーズ」と「博奕打ちシリーズ」に挟まれる様な状態で東映京都が製作した明治時代が舞台の「博徒一家」(未見作品)の扱いは何方になるのか」という問題も有るのですが…


「博奕打ちシリーズ」が東映京都の「博徒シリーズ」の作風をそのまま受け継いで題目を一新し「博徒シリーズ」は東映京都から東映東京に移管された(又は同一のシリーズ名称ながら一から企画された)と当方では判断します。


何故この作品だけが「博徒」の名前が添えられたのかは全く解らないし想像が付きません。


初公開前の予告編の時点で「博奕打ちシリーズ」となっているので「後に解釈を変更した」という事でもないだけに謎です)



「札つき博徒」「博奕打ちシリーズ」第九弾。昭和45年9月9日公開。笠原和夫/志村正浩の共同脚本・小沢天皇監督・東映京都製作。


未VHS/DVD化作品で有料動画配信も行われていませんが…


現在デアゴスティーニ・ジャパンから隔週刊で販売されている「隔週刊 東映任侠映画 傑作DVDコレクション」にて初のDVD化がされる可能性が有るかもしれません。


当初から「博奕打ちシリーズ」が発売予定作品となっている為。


あくまでも予測ですので、もし商品化されなかった際は御容赦下さい。







※KINENOTEの作品案内は此方から



当作品は今月の東映ch「傑作任侠スペシャル」内の一作品として5/14(木)13:00~15:00・5/19(火)11:00~13:00・5/22(金)16:30~18:30に放映される予定です(HD放映・字幕付き)



※東映chの放映日時案内及び作品案内は此方から



大正時代初期の北九州・戸畑を舞台に
戸畑祇園大山笠の利権を争う二つの「新興ヤクザ組織」と「古くから戸畑を守る老舗一家と堅気衆」の「三つ巴の争い」に、戸畑で生まれ育ち祇園山笠を心から愛す一匹狼の博奕打ち(鶴田のおやっさん)と旅先で知り合った二人組の博奕打ち(小池の朝さん・ヤマリン)も加わり立ち向かう話。



結論から…


傑作です!


そして、俺は当作を鑑賞した事で「博奕打ちシリーズ」全十作品を見終えましたが…


「ハズレ無し」
どころか全作品が水準を相当に上回る「傑作のみで構成された日本の映画シリーズでも指折りの作品群」と言い切らせて頂きます!



今回のおやっさんは十数年前の「殺人を犯した若頭(大木実・若山組若頭)の身代わりで服役した「一匹狼」の博奕打ち。


戸畑に戻って来た訳は…


石炭の利権に飽き足らず、祇園山笠の利権さえも力ずくで奪おうとする二つの組織(頭は其々北村の英さん・内田の朝さん)を潰し「堅気衆が安心して生活出来る」「堅気衆の手で祭りを盛り上げる」過去の良き街に戻す事…


そして「組頭になった大木若頭とその組織を助ける事」が目的でした。



何時もの冷静なおやっさんとは少し違い、目的の為なら手段を選ばず、双方の組に「甘い餌」をぶら下げ自らを売り込む「強かさ」「大胆さ」も持ち合わせています。



そして「
おやっさんの目的を知り手を貸す小池の朝さんとヤマリン」「初めは『ヤクザなんて大嫌い!』と言ったものの生き様や考え方に惹かれ強力も惜しまぬ様になり、最後の殴り込みの直前には涙を流し謝罪した下宿先の食堂の一人娘(時美沙。食堂の主人は谷村昌彦)」「めくらになった事で組織の求心力が急速に低下し苦悩する大木若頭とその女房(桜町弘子)。そして『二つの組』に左右される上に『やくざと堅気』の板挟みにも遭ってしまう現在の若頭(待田の京さん)の更なる苦悩」「大木若頭に実兄を殺された怨みだけを生きる目的とする凶暴なヤクザ(天津の敏さん)」「瀕死の重傷を負った大木若頭の枕元で真実を話すおやっさんとその話を聞き大木若頭を改めて見直す京さん他若衆一同(この直後、大木若頭は絶命)」「遂に衝突した英さん・朝さんの組織」「英さん・朝さんの組織には手緩いどもりの警察署長(方正さん)」「朝さんに牙を剥いた京さんと堅気衆の行く末」等々が同時に描かれていきます。



今回の
「紅一点」は工藤のアッコさん。


朝さんの組の客人で、度胸が自慢の
「渡り鳥」の博徒。


中盤でおやっさんに…


「お前も堅気にならんか…俺は今回の事が片付いたら俺はやくざの足を洗うつもりだ」


…という「遠回りの告白」を受けた時から心が少しずつ揺らぎ始めます。


しかし終盤、内田の朝さんの遣り方に我慢が出来ず殴り込み、瀕死の重傷を負った所をおやっさんに助けられますが…


「…賑やかな通りの裏に部屋を借りて…風鈴を吊るして…」


…と「堅気の生活」を呟きながらおやっさんの腕の中で旅立ちます。



東映任侠映画で「女博徒」となると、俺もそうですが
藤の純子姐御が真っ先に浮かびますし俺と同じ考えの方々も多いものと思いますが…


役柄設定次第では
別な女優が演じた方がいい場合も当然有り!


当作の様な「幼少の時から賭場を見て育ち、表も裏も全て見通せる筋金入りの女博徒。しかし堅気の生活を肌では全く知らず憧れが人一倍強い」という役柄設定にアッコさんを起用したのは全くもって正解と感じます。


「力強さと華麗差が融合した美しさ」も純子姐御と双璧です!


「小走りになると左肩がガクッと下がるアッコさんの癖」もきちんと生かした小沢天皇の「殴り込みの場面の演出」もさすがです!



そして当作は「法則崩れ」の結末を迎える作品です。


最後の殴り込みで主役のおやっさんが死に、助演の一人の小池の朝さんが生き残ります。


「東映任侠映画」「東映ヤクザ映画」では「助演が死に主役が生き残る」「全滅」が基本の形ですので極めて珍しく、俺も同様の「法則崩れ」となった他の作品は「主役の文太さんが死に助演の健さんが生き残る」「懲役三兄弟」しか知りません。



他の出演者は…三島のゆりちゃん・関山の耕さん・拓ボン・人見きよし・サワショウさん・林の彰さん・有川正治・高並功・野口貴史・国一太郎・中村錦司・丘路千・白川浩二郎・笹木俊志等々です。