事実の相違が悲劇を生む…東映京都「博奕打ち・流れ者」鶴田のおやっさん/山下将軍 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。


休み最終日…


昨日とは打って変わって快晴で暖かい秋田市内です。



昨夜は3時頃迄映画を見ていましたが…


起床したら既に10時半!


悪友に飯を奢る約束をしていましたので一緒にラーメンを食い帰宅後、早くも入浴を済ませてしまいました。


後は早目の夕飯に早目の飲酒です!



さて本日は…


鶴田のおやっさんが主演した
「傑作揃いの人気シリーズ」第八弾で、今月の東映ch「傑作任侠スペシャル」で放映されている一作品です。



「博奕打ち・流れ者」シリーズ第八弾。昭和45年4月18日公開。鳥居元宏/志村正浩の共同脚本・山下将軍監督・東映京都製作。


未VHS/DVD化作品で有料動画配信も行われていませんが…


現在デアゴスティーニ・ジャパンから隔週刊で販売されている
「隔週刊 東映任侠映画 傑作DVDコレクション」にて待望の「初DVD化」が予定されている一作品となっています。(今後の販売状況に左右されると思いますので確実と迄は言い切れません。時期は未定)






※KINENOTEの作品案内は此方から



東映chでの放映予定は…


4/16(木)25:00~27:00・4/24(金)16:00~18:00・4/27(月)11:00~13:00
です。(HD放映・字幕付き)



※東映chの放映日時案内及び作品案内は此方から



併映作品は…


おやっさんを慕っていた一人・辰ちゃんが主演の(一度目の結婚披露宴ではおやっさんが祝辞を読み、辰ちゃんの両親はおやっさんに「親にも言えない事を鶴田さんには相談されている様で…申し訳ありませんが今後も息子を宜しくお願いします」と挨拶をれたそう)
「大人気B級アクション映画」の第七弾「不良番長・一獲千金」(山本英明/松本功の共同脚本・野田ちゃん監督・東映東京製作。VHS/DVD化作品で楽天ShowTime内で有料動画配信も行われています。因みに俺は未見です。KINENOTEの作品案内は此方から








明治時代中期の小倉と東京が舞台。


流れ者五人衆(鶴田のおやっさん・水島の道さん・北村の英さん・待田の京さん・敏さん)が「一宿一飯の義理」を果たす為に「殴り込み」に向かう場面から始まります。


道行きの途中、英さんは「京さんは長生きさせてやりたい…」と言った為外される事となり(しかし殴り込みを終えた現場に舞い戻りおやっさんに一喝されます)敏さんは途中で逃げ出します。


遺った三人衆が殴り込みを終えると…瀕死の重傷の道さんは逃げた筈の敏さんに助けられ
「東京に行きてぇ…」と一言…


致命傷の英さんはおやっさんに
「昔捨てた娘を探して俺が貯めた500円を渡して欲しい…」言い残し絶命…


その言葉に従い、おやっさんは「流れ者」として英さんの娘を探し続けました。



そして5年後…


東京で道さん・敏さんと再会。


しかし
「小倉での一件」「敏さんが手柄を立て、道さんが逃げた」となっていた上、敏さんは一家の頭として飛ぶ鳥落とす勢い…


道さんは
「酒浸りで何も出来ない敏さんの一家の邪魔者」となっていました。


後に
「名を上げつつあった壺振り師」となった京さんも道さんとの再会時「あんたみたいな卑怯者とは…」(事実を知らない為仕方がありませんが)と言われる始末…



ここに「道さんの「おやっさんの話」で見えぬ相手に惚れていた妹(藤の純子姐御)が実際におやっさんに出逢い惚れこむ姿」「英さんの娘(北林早苗)との出逢いと金の受け取り拒否」「早苗さんの旦那(中村錦司)が嵌った賭場での罠とおやっさんによる大勝負、そして早苗さんとの和解」「敏さんと裏で繋がる愚連隊の頭(須賀の不二さん)との悪事の数々」「敏さんと大親分(北龍二)との親子縁組に隠された意図と、真実を知った媒酌人(内田の朝さん)の怒りと命懸けの懇願」「終盤登場した流れ者(若山先生)との殴り込み」等々を絡めて描かれます。



何度か
「博奕打ちシリーズは″ハズレ無し″かも…」と書きましたが…


当作も
傑作!


監督が山下将軍ですから「安全保障付」とは思っていましたが、予想以上!


おやっさん・京さん・道さんの「複雑な胸の内」情感高く描いているし、出しゃばらず「脇」に徹した若山先生と内田の朝さんの「善人芝居」が更におやっさん等々の芝居を引き立てています。


特に…


●敏さんに牙を剥き刺された道さんが
おやっさんと純子姐御が見守る寝床で長い間吐き出せなかった苦しみと無念を言い残して絶命する場面。


●敏さんに命ぜられおやっさんの命を狙った京さん。


しかし
「男のくせに…噂話に惑わされやがって…」とおやっさんが「事実」を話します。


それを陰で見ていた朝さんと若山先生…


その時、敏さんの一味がおやっさんと京さんを襲い、京さんは致命傷を負います。


「兄貴と呼んでいいか…」という京さんに「何を言っているんだ!俺にとってお前はたった一人の兄弟分だ!」と返すおやっさん…


京さんは
「道さんの隣に埋めてくれ。あの世で道さんに謝りたいんだ…」と笑顔で言い残し絶命…


これが
朝さんの「命を懸けた敏さんへの懇願と更なる悲劇」に繋がります。



最初は「善人役か?」と思わせ、序盤は半信半疑…


しかし
腹の中は「笑点」の圓楽師匠なんか足下にも及ばない「腹黒さ」を見せた敏さんも素晴らし過ぎます!



「事実の相違」が時間を追うにつれて複雑に絡み数々の悲劇を生む…


それを
情感たっぷりにしっかり描く将軍の腕は見事!



そして山下将軍の「特徴ある演出」となると「花」ですが…


当作では
純子姐御の「簪」が代わりに使われているのも大きな特徴です。


「簪が割れるといい事が無い」「簪が…というのは迷信ね!逆にいい事ばかり起きるんですもの…」と中盤迄は進むのですが…


これが
最後に「大きな意味」を齎します。



他の出演者は…八名の親分・潮の健さん・小島の慶さん・国一太郎・宮城幸生・汐さん・阿波地大輔・山岡徹也・野口貴史(現・野口泉)等々です。



最後に…本日買った
「カミオン 平成27年5月号」(芸文社・刊/¥880-+税)。








「トラック野郎大放談」と題し、宮崎靖男・初代哥麿会会長や椎名均・椎名急送社長等々「トラック野郎」に大きく貢献した協力者達の対談を収めたDVDが付いています(紙面にも掲載されています)。


その他に…「星桃次郎グラフティ」「撮影協力車名鑑・ライバル車編」「初代一番星号の深まる謎」「トラック野郎の生みの親に改めて迫る 映画人・鈴木則文」等々盛り沢山の内容となっています。