(再々掲載)核と死。第二東映「第三次世界大戦・四十一時間の恐怖」梅宮辰夫。来月東映chで放映。 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

※この記事は平成25年2月21日及び平成25年8月2日に掲載した記事を再々編集しました。



皆様、こんばんは。


本日は日勤・夜勤切り替えの中日の為夜更かし中です。


今朝になって急激に気温が下がり、常時暖房を使用していなければ風邪でもひきそうな厳しさになっています。



さて本日は…去年も二度、東映chで放映された「初期の東映特撮作品」を紹介します。



「第三次世界大戦・四十一時間の恐怖」昭和35年10月19日公開。週刊新潮編集部原案・甲斐久尊脚本・日高繁明監督・東映東京(第二東映)製作。


未VHS/DVD化作品で動画配信も有りません。






※KINENOTEの作品案内は此方から



当作は来月の東映ch「東映名画館」で放映の一作として12/10(水)24:00~25:30・12/18(木)15:30~17:00・12/23(火)26:00~27:30の三回放映される予定です。



※東映chの作品案内・放映日時案内は此方から



現在の東映東京は「第二東映」としてスタート。






後に「ニュー東映」となりましたが、昭和40年を迎える前にこの名称は消滅しています。



東映特撮の初期作品ですが、冷戦時代に本当に起きてもおかしくはなかった話を実写化した、非常に真剣に、しかも中立的に描かれた傑作です。


実在する国名が登場し、戦争の切っ掛けが朝鮮半島で発生している流れの為、リアリティも抜群です。



平和な日々を過していた日本に突如降りかかった第三次世界大戦の恐れ。


この作品では重役家族、新聞記者とその恋人の看護婦、病院に取り残された患者、子供を残して疎開した親と取り残された子供、重病の妻を抱える流しの男、男手一つで息子娘を育てた銀行員一家の平和な日々から絶望に突き落とされる迄の姿、そして群集の狂乱状態を交えながら描かれます。



しかし冷戦時代の米ソの交渉は国連を持っても決裂し、事件発生から二日も経たぬ内に水爆を使った核戦争の宣言が為され…


たった数十分の間に日本は全滅。


更に当時の全世界の人口28億人の内20億人以上が犠牲になった、という結末。



主役の辰ちゃん(左)に同僚のオリジュン(右)。


この二人は新聞記者。





「何も悪い事はしていないのに何故こうなるんだ!」「一部の権力者の為に俺達国民が迷惑している」の台詞が印象的。



辰ちゃんの恋人で看護婦の三田佳子。





辰ちゃんに出来るだけ遠くに退避する様に電話で強く言われながらも、退避出来ない女の子の患者の為に病院に残り、そこで最後を迎えます。



そう言えば…この頃は「辰ちゃん・三田さん」のコンビで出演した作品がかなり有りますが…或る映画の撮影で接吻の場面が有ったにも拘らず…辰ちゃんは葫を食って撮影に臨んだら…その後二度と三田さんから声が掛らなかったとか…そんな話を何処かで読んだ気がします。




戦闘機の編隊やミサイル発射、そして下の写真の様な国会議事堂の破壊場面は特撮が使われています。






話の中身は極めて真剣かつ真面目で、悲惨な形で終わりますが、今に続く東映特撮作品の魁でもあります。



先にも書きましたが、冷戦時代はこういう事が起きてもおかしくはなかったのは事実。


その恐怖を現在迄続くアメリカの保護状態の日本で、極めて中立かつ市民の立場で描いた事は特筆です。


情勢を伝えるのは無機質なラジオの音声と僅かな各国首脳のテレビ映像のみ、というのも緊迫感と更に冷ややかな恐ろしさを増大させるのに一役買っています。


今は違う形での情勢不安が有りますが、この当時の緊迫感に比べたらまだいい方なのかもしれません。


そういう意味でも見られる(録画出来る)機会が有る方々には是非見て頂きたいです。



因みに俺の考えは…核兵器は根絶でも国連活動及び多国籍軍活動の為や攻撃された際に国民を守る、領土を守る為の軍隊・兵器は絶対保持するべき。


多民族・多宗教でこれだけの国が存在していては、争いの無い世界は誰もが望んでいても現実は争いが絶える事は今後も絶対に有りません。


そして日本も周辺国から何をされるか、不安は皆持っている筈。


罪の無い人を守り、場合によっては破壊者を根絶する為に「最後の手段=戦争」に出る必要も有るし、有事の際に国民を守れない国に住みたいと思う国民は世界中何処にも居ないと思います。


「戦争=負の遺産しか残らない」と言う事は有りません…多くの犠牲が出たとしてもこれにより助けられ、他界された方々の分も精一杯生きている方々が世界中には沢山居ます。


憲法や自衛隊法の改正にも賛成です。



そして原発に関しては…工場勤務の者としては…先ずは全炉稼動を切に希望。


長期停止による電力料金の上昇は国際競争力や雇用に響いてしまいます。


勿論、家計にも…


そして今後は、震災前に稼動していた原子炉数+建設中・設置認可済みの炉数で賄い、新たに作る炉は現在の発電所に更新設置のみを認め、新規の原発進出・原子炉増設は凍結。


太陽光や地熱発電を増やせば原発は減らせても、完全に止めるのは現実を考えると不可能と思います。


日本の様な資源に乏しい国は危険を孕んでいても、原発依存は避けられません。平和利用には変わりないので…更に言うなら限りの有る資源である石油等々の自然資源を次世代にも残す必要が有るでしょうから、その意味でも「原発は今後も継続すべき」と考えます。


現実を見て考えたら…「軍隊も原発も賛成」となるし「綺麗事を言えばいい」とか「済まされる」という問題でも有りませんので…



まぁかなり脱線してしまいましたが…こういう考えを持っていても映像作品や小説・漫画等々は政治思想や自己の考えとは別に「面白い・楽しい・何かを考えさせる」等々の価値が一つでも見出せれば右も左も一切関係無し!これが一番いいと思っています。


そう思って見る事で考え方が変わらなくても色々な嗜好や世界が見えてくる、という「良さ」が有るし視野も広くなる…「考え方に柔軟性を持てるようになる」と云う事もたまには有ります。



他の出演者は…

 
90歳を超えながらも現役で活躍されている風見章子。


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この時代の東映作品で活躍していた故里やよい。


残念ながらこの時代を除いて活躍は確認出来ず、憶測ですが早期で引退したものと思われます。



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柳生博夫人で「ルパン三世」テレビ版第1シリーズ(昭和46年~47年)で峰不二子の声を担当した二階堂有希子。



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名脇役として各社の作品で幅広い芝居を見せていた加藤嘉。



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冒頭、高校の教員として出演した神田隆。


この頃は善人役が多かったのですが、後に悪役も数多く演じています。


昭和61年に京都駅のエスカレーターから転落し、急逝されました。



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又、この作品の美術は後に「キイハンター」「Gメン75」のプロデューサーとして活躍した近藤照男が担当しています。



最後に…同時期に東宝がフランキー堺主演で製作した「世界大戦争」より出来は上と感じます。


「宇宙大戦争」も物語はかなり優れているのですが(特撮技術は東映より相当先を行っています)…「堺さんを物知りの解説者の立場にしてしまった」点のみが俺としては大きなマイナス…「見下げた目線」で作られた様な感じを受けてしまいました。


「四十一時間の恐怖」はあくまでも「市民の目線」で描かれている事が大きな美点…特撮は発展途上段階であっても「この点」で軍配を挙げます。


これは「視聴価値が非常に高い隠れた名作」だと思います。