現在の中国が宋の時代の河北省(石家荘・唐山等々の大都市が属しています)が舞台…虎退治で一躍名を上げた高島史旭(後の竜崎勝・フリーアナウンサーの高島彩の実父)は実兄・山谷初男の夫人・真山知子に一目惚れするのですが、この地の富豪で女好きの伊丹十三も同じく一目惚れ…そして高島さんが別の戦に出向いていた頃に伊丹さんは真山さんに山谷さんを毒殺させ自らの第5夫人に迎え入れたのです。しかもこの事件に疑問を持った高島さんは犯罪性を訴えても聞き入れられないばかりか怒りを抑え等れず伊丹さんの自宅に乗り込んだ際に結託していた小役人を殺害してしまい牢送りとなるのです。しかし、元から淫らな要素を秘めていた真山さんが夫人をとっかえひっかえ、更に新たな夫人を求めようとする伊丹さんに対して欲求不満を抱くのは当然で…
当作品は元々東映が映像化する予定であったのが諸般の事情から松竹に移行したものの、佐藤友美・香山美子等々松竹の専属女優陣の殆どが当作品への出演を拒否したらしく、東映出身の真山知子を始めとするフリーの女優陣で固められたのはそんな事情があるのでしょう(大島渚監督・創造社制作・松竹配給「無理心中・日本の夏」に出演した桜井哲子も場面と台詞が比較的多い役で出演しています)。若松監督が「松竹女優は馬鹿!裸にならぬなど女優に自信が無いから…女優なんか辞めて早くヨメに行け!」と言い放った気持ちを俺は十分に理解出来ます、観客目線に立てば明らかに若松監督の考え方が正論だから(但し「全裸や乳房を晒すのは拒否をしても乳房を晒さぬベッドシーンはOKとか大馬鹿や根っからの大悪党・人間性皆無の欠陥女・毒婦等々を爛々と演じる」と云うならばよしです)。逆に「もし佐藤友美・香山美子の他に倍賞千恵子/倍賞美津子姉妹・岩下志麻・尾崎奈々等々の松竹女優陣を脱がせて遣ったらどうなったか?」とも想像してしまいます、多分、山田洋次を筆頭とする監督陣と大船調を良しとする松竹ファンが激怒したか、企画段階か撮影途中で潰されたでしょうが…そして「水滸伝」「金瓶梅」双方の予備知識無しで鑑賞しましたが、お色気映画の企画・制作・配給に不慣れであった状況下の松竹が異国の古典を題材とした色艶モノに手を伸ばしたのはいきなりオリジナル脚本で勝負するよりも正解だったと思いますし、当作品の出来自体は及第点レベルでも(オリジナルのイロモノを十八番としていた当時の東映が手掛けていた方が明らかに面白かったと思います。更に言うなら梅宮辰夫・松方弘樹・山城新伍等々の俳優陣に東映ピンキーバイオレンス軍団を絡めていたら大傑作となっていたかと)出演拒否問題や東映撮影所を使用せざるを得なくなった事情を逆手に取って「大船調ばかりが松竹ではない!観客の要望に応えてこそ映像制作会社の在るべき姿!」と制作陣は奮起し、或る程度社内の思考を変える切欠に、加えて昭和48年から始まった松竹直系のポルノ映画制作会社・東活設立にも繋がったのでは、と…真山さんと伊丹さんの数々の駆引きに最後に明かされ得る真山さんの心情、そして官吏に従順だった高島さんの変化等々、評論家や識者は「松竹よ、お前もか=イロモノへの進出を非難」と散々な評価をした模様ですがそれなりの面白さと見応えがある作品です。






