レスリング映画の決定版! | Whoops!カズのお気楽れんらく帳

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ダンガル きっと、つよくなる

2016年インド
監督:ニテーシュ・ティワーリー
出演:アーミル・カーン

世界中で人気の競技だというのに、レスリング映画って意外に少ない。「ビジョン・クエスト」や「フォックスキャッチャー」(これは違うか)ぐらいか。そんなレスリング映画の決定版が、インドから登場するとは!

しかもこの映画、インド映画史上最大のヒットになったらしい。それも納得。全てのツボを押さえたスポ根映画の王道が面白くない訳がない。そこにインドの古い因習と、それを打ち破ろうとする父娘のドラマが、女性たちへのエールになる熱い展開。その辺はさすが社会派フェミニストのアーミル・カーンらしい。

黙っていれば悪魔顔のアーミルさんは、特殊メイクとしか思えないムキムキ筋肉から中年太りまで、デ・ニーロも顔負けの肉体改造を披露し、現代なら完全にアウトな鬼のレスリング親父を熱演。娘の意思を無視してシゴキまくる親父と、なんとか抵抗しようとする娘たちの攻防がユーモラス。

長女ギータが才能を開花させてからの快進撃、挫折、葛藤、父娘の対立など、正攻法過ぎながらもイベント満載でクライマックスまで盛り上げまくる。更に、古い因習と女性の社会進出という、インド社会の大きな壁が見えて来たとき、この映画の本当の姿が見えて来る。

自分の夢を一方的に押し付ける典型的ダメ親かと思わせて、実はそれが娘への愛情だった事が分かる。なんとも面倒くさい父娘愛だが、共に巨大な障害に立ち向かおうとする姿は燃えるうえに感動的だ。

ギータ役のファーティマー・サナーは、本物のレスラーにしか見えない上に美しく魅力的だ。彼女の吹き替え無しの試合シーンは、本物の試合以上に分かりやすくて迫力満点。結果は分かっているのに手に汗握る、スポ根映画はこうでなくては。社会派だろうがフェミニズムだろうが、まず面白い映画にしてみせる、インド映画の真髄を見た気がする快作!

KBC シネマ 20180501