バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
2014年アメリカ
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン
恐ろしく手間のかかる事をやっているのは分かるんだが、全編ワンカットって手法はさほど珍しくない。だいたい編集と特殊効果を使った、なんちゃって長回しだし。
落ちぶれたスターの足掻きも、ショービスの内幕も、評論家の横暴も、マスコミや大衆の狂騒ぶりも目新しくない。しかしマイケル・キートンが主演となれば、俄然興味が湧いてくる。
言うまでもなく、元バットマンのキートンも、その後は目立った活躍もなく燻っている。主人公そのまんま、というかキートンを当て書きしたような内容だ。そんな男の再起を賭けた一発逆転劇は、「レスラー」のミッキー・ロークがそうだったように、現実と映画がシンクロして、他では味わえない高揚感がある。
ミッキーより器用なキートンは、ブリーフ一丁も見せる大熱演で、映画を最期まで引っ張ってみせる。これまた本人そのままに面倒臭い、エドワード・ノートンとの掛け合いも面白い。エマ・ストーンは相変わらず可愛いなあ。
でも、マスクを被れば誰でも演じられるバットマンは、イメージを引きずらない分、まだましかな。俺にとってはキートンはビートルジュース。再ブレイクした今こそ、続編やってくれないかな。
天神東宝 20150409