★★★☆☆
長嶋有さん初読みです。
この人「ジャージの二人」も書いてるんですね。映画で観たことある。
「サイドカーに犬」と芥川賞を受賞した「猛スピードで母は」が収録されています。
タイトルのセンスが素晴らしいですね。
俳句をやってるからだそうですが、結構悩みながら決めてるらしい。
「サイドカーに犬」
収録されてると思わなかったのでちょっと嬉しかった。
映画は昔観たんですが。
小説版も映画の竹内裕子を思い出しながら読みました。
母が出て行った家に父の愛人が来て面倒をみてくれる話。
要は「犬」的な扱いされてるんだけど、
その扱われ方にイヤミがなくて
むしろそういう関係に新鮮さ、
心地よさを感じる少女の気持ち、
なんとなく分かります。
懐かしのアイテムがいろいろ出てきます。
山口百恵とか麦チョコとかガンプラとかパックマンとか。
コーラ飲むと歯が溶けるとか、当時のあるある系も面白いです。
子どもから観た大人の世界が、
「ああそういう風に感じてたなあ」と共感できます。
自分を紹介するときは名字だと思ってたのに
「ヨウコ」といわれて衝撃受けたとか、わかるなあ。
麦チョコをどさどさと買い物カゴに入れられてどきどきしたり、
晩御飯用の皿に麦チョコを入れられてびっくりしたり、
子どもの頃って母のやり方、ルールが
世界の統一基準なんだって思い込んでるから、
それを破られたときの衝撃は大きいんですよね。
そういう懐かしい感覚がいっぱいの作品です。
「猛スピードで母は」
三人称ですね。珍しいかも。
母の恋人と触れ合ったりして
サイドカーと逆パターン?
こっちより「サイドカー」の方が好きだな。
そんなにいいとは思わなかった。
どういうところが評価されたんだろう?
かっこいい母を間近でみて、
少年がいじめから立ち直っていくプロセスを
描いているところ?
淡いなあ。
ちょっと自分の感性に危機感を覚えた。
対立や葛藤が分かりやすく描かれる
エンタテイメント作品ばっかり読んでると、
こういう淡い作品に対する感度が
麻痺してしまうのかもしれない。
普段のあくの強いエンタティメント小説が
食品添加物を多用したB級グルメだとすれば
有機食品で作った自然食って感じ。
文脈や描写からテーマを汲み取る力量が問われますね。
