「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」 | プロ作家へGO!!

プロ作家へGO!!

目標のプロ作家になるまでのスキルアップの過程をひたすら綴り続けるブログ。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)/桜庭 一樹
★★★★★

※ネタバレあるから注意してね。

桜庭一樹さん初読みです。はい、男性作家だと思ってました。
昔読んだコバルト文庫みたいなテイストでノレました。
まあライトノベル系ですね。

1ページ目から面白い匂いが
むんむんと漂いまくっていて、
それが最後まで失速することなく、
むしろ加速度的に引き込まれていく
とんでもない傑作でした。
ぶっちゃけ「告白」の何倍も面白いよね?

読んだ人なら分かると思うが、
ペットボトルの水をぐびぐびぐびぐび飲むように、読める。
1日で一気に読了しました。

ポーンと冒頭でラストの結末が提示されて、
「あ、そうなっちゃうんだ?」が、
読み進めるうち
「えー、マジでそうなっちゃうの?」
と切実な思いに変わっていく。

結末が分かっているのに
なんでこんなに引き込まれるかなー?

海野藻屑というへんな名前の転校生と、
母子家庭の語り手ヒロインとの友情物語。
最初はハルヒ風に転校生藻屑のクラスメートへの挨拶から。
見事にアンチから入りますよねー。

色白で大きな瞳の美少女が口から涎を垂らすって
いまだにうまくイメージできんよ。

貧窮にあえぐ主人公が求める「実弾」と、
一応セレブな藻屑が撃ちつづける「砂糖菓子の弾丸」が、
モチーフとして一貫して対比されてて
この物語に強烈な個性を出せていたんじゃないかと思う。

エピソードというか、豆知識の使い方も秀逸。
ストックホルム症候群とか、サイコロジカル・ミスディレクションとか。
<当たったらヤバイクイズ>なんか最高だった。
ちゃんとストーリーに組み込まれて生かされてるし。

背景に浮かび上がるテーマは深刻。
子供たちはみんな戦士って……
ちょっとテーマを説明しすぎな気もするけど
そこはわかりやすいってことでOK。

ちょいとグロありなんですけれども
切なすぎるグロです。

ラストも最悪の悲劇なのに
エンタメ小説として成り立っているのは、
やはり登場人物たちが変化しているからなんですねえ。

実弾主義に徹していた
ヒロインはもちろんそうだけど、
特に貴族(引きこもり)だった兄。

ヒロインがほのかに思いを寄せていた花名島と
藻屑の関係も面白かった! MとS?みたいな。

うさぎの犯人は誰だったんだろー?
やっぱ藻屑なのかな?
確かに話してることのほとんどがウソだし。
でもそのウソがほんとであってくれ!
この子がほんとに人魚だったらいいのに、
って思わせてしまうところがすごすぎ。

久しぶりに心を揺り動かされた名作でした。