変性性脊髄症(DM)を生き抜いたミックさん | しちふくのひとやすみ

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ミックさんは13歳10カ月のコーギーの男の子キラキラ

 

ミックさんは11歳ころから後肢に力が入らず、歩き方がおかしくなってきました。

 

かかりつけ動物病院ではヘルニアではないかと言われ、ビタミン剤の飲み薬が処方されていました。

 

しかし、ビタミン剤を飲んでも状態が悪化してきたので、しちふくの治療を受けに来てくれました。

 

約2年半前、初めてミックさんに会った時、足のふらつきの様子と本人が全く痛みを感じていなかったことから、変性性脊髄症(DM)の可能性もあると思いました。

 

 

わんわん   にゃー   わんわん   にゃー   わんわん

 

犬の後肢が麻痺する病気と言えば椎間板ヘルニアがもっとも有名です。

 

椎間板ヘルニアというのは、各脊椎間のクッション役である椎間板がズレて、脊椎の中にある脊髄という太い神経を圧迫することが原因で起こります。

 

発症したばかりの時は強い痛みを伴うこともあります。

 

椎間板ヘルニアであることを確定するためには、犬に麻酔をかけてMRIを撮らなければなりません。

 

椎間板ヘルニアの場合、その後に脊髄軟化症にならなければ、急性期を乗り切れば麻痺の進行はほとんどないと考えられます。

 

 

一方、変性性脊髄症(Degenarative Myelopathy:DM)というのは、SOD1遺伝子の変異が原因と考えられています。

 

人間では、SOD1遺伝子の変異は家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)を引き起こすことが知られています。

 

犬のDMはもともとシェパードの病気として報告されましたが、最近ではコーギーさんの発生が多いことが報告されています。

 

後肢の麻痺から始まり、そのうち前肢も麻痺してきて、徐々に麻痺が全身に広がり、呼吸筋が麻痺すると呼吸困難で苦しむことも多いです。

 

遺伝子変異が原因のため、現在のところ治療法はないと言われています。

 

DMについては岐阜大学が熱心に研究しています。

 

岐阜大学動物病院に血液を送ると遺伝子検査をしてくれます。

 

DMの詳細を知りたい方は岐阜大学動物病院神経科のWEBサイトをご参照ください。

 

 

わんわん   にゃー   わんわん   にゃー   わんわん

 

ミックさんに初めて会った時、DMでなく、ヘルニアであってほしいと思いました。

 

しかし、ミックさんの麻痺は少しずつ進行していきました。

 

確定診断はできていませんが、症状からDMで間違いないだろうと思われました。

 

これまでもDMが疑われるコーギーさんが何匹か治療を受けに来てくれました。

 

DM疑いの犬の飼い主さんは、麻痺が進行し続けると鍼と漢方では効果がないと判断して治療をやめてしまいます。

 

それはそれで仕方のないことだと思います。

 

ミックさんの飼い主さんはミックさんの麻痺が進行し続けても、

「マッサージのとき気持ちよさそうだし、

 鍼の後は体が楽そうだから」

と言って、2週間に一度必ず鍼治療を受けてくれました。

 

ミックさんの後肢が完全に麻痺して車椅子になっても、さらに麻痺が進行してバギーでしか散歩できなくなっても、一言も文句を言わず治療を受け続けてくれました。

 

 

 

お正月などで数回だけ治療間隔が3週間になったこともありましたが、基本的に2週間に一度、必ず治療を受けてくれました。

 

 

今年の6月までは脇から支えるとかろうじて「伏せ」の姿勢をとることができましたが、7月にはそれもできなくなりました。

 

7月以降も首は動かせたので、首を振って体を動かして部屋の中を移動していたそうです。

 

そんなに麻痺が進行してもミックさんは治療を受け続けてくれました。

 

毎回1時間ほどマッサージをした後で鍼治療をしました。

 

四肢のマッサージもそうですが、嚥下と呼吸にかかわる筋肉が衰えないように心を込めてマッサージしました。

 

11月に入ると飲み込む力も弱くなり、お父さんお母さんは流動食を懸命に食べさせてくれていました。

 

このころには漢方薬もやめ、マッサージと鍼だけで治療させてもらいました。

 

そして、先日 ミックさんは光の世界に旅立っていきましたキラキラ

 

 

呼吸に関して苦しむことは一切なかったそうです。

 

 

ミックさんが遠くを見るような目つきをしていたので お父さんが見ていたら、そのままスーッと息を引き取ったそうです。

 

まったく苦しまなかったと、ご連絡くださいました。

 

次の診察予約であった日に、わざわざご夫妻でご挨拶に来て「ありがとうございました」と言ってくださいました。

 

お互いに涙を流しながらお話しさせていただきました涙

 

 

わんわん   にゃー   わんわん   にゃー   わんわん

 

ミックさんは世の中にひとりしかいないので、しちふくが治療した場合としなかった場合を比較することはできません。

 

治療期間は約2年半。

 

一般的に言われるDM発症からの余命を考えると、治療したから寿命が延びたとは言えないでしょう。

 

褥瘡に関しては、食欲が落ちて筋肉が少なくなっていましたが、2週に一度の診察のたびに小さな褥瘡があると早め早めに処置をし続けたため、大きな褥瘡はできませんでした。

 

ミックさんが最後まで呼吸困難にならなかったのは、しちふくの治療が少しは役に立ったのか、治療しなくても変わらなかったのか分かりません。

 

呼吸にかかわる筋肉を刺激するようにマッサージし続けたことは事実です。

 

しちふくはミックさんがせめて呼吸困難で苦しむことのないように祈り続けていました祈

 

その気持ちが、少しでもミックさんの役に立ったなら幸いです。

 

 

わんわん   にゃー   わんわん   にゃー   わんわん

 

 

ミックさんが旅立った後で、ミックさんのお父さんお母さんにブログ掲載の許可をお願いしたら快諾してくださいました。

 

ミックさんの「男前」な写真をたくさん送ってくださいました。

 

ミックさんのお父さん、お母さん、ありがとうございましたペコリ

 

ミックさん、安らかにラブラブ

 

 

 

 

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