先日の記事で、ひかりが野菜を食べる理由を胃熱証という観点から考察したとき、「胃熱症の間違いではありませんか」とお問い合わせをいただきました。
これはしちふくの説明不足でした
西洋医学では、血液検査やエコー検査などの西洋医学的診断によって下された病名のことを感染症などのように「症」という漢字を使って表現します
東洋医学では、問診や脈診などの東洋医学的手法によって導き出された病態を「証」とういう漢字を使って表現します
西洋医学で言う「診断を下す」ことを、東洋医学では「弁証する」と言います。
という事で、東洋医学では「証」と表現しますのでご承知おきください
さて、前回はひかりが野菜を食べるのは胃熱がたまるからだと説明しました。
今回は「陰虚証」という観点から考えていきます。
東洋医学では身体の中に「陰」と「陽」があって、そのバランスがとれた状態を健康と考えます
陽が良くて陰が悪いという事はありません。
あくまでも、バランスが取れていることが健康です。
「陰虚証」というのは、身体の中の陰だけが少なくなっている状態のことです。
上の図からも分かるように、「陽」は正常(健康状態)と基本的に同じ大きさです。
「陰」だけが少ない状態を「陰虚」と言います。
(病態が進んでくると陽の量も変化してきます)
身体における「陰」の働きは、身体を冷やす、身体に潤い(水分)を与える、リラックスする、夜にぐっすり眠るなどがあります。
陰虚証になると、身体が火照る、暑くないのに汗が出る、微熱、ウンチが固くなり便秘気味になる、イライラする、ぐっすり眠れない、犬だとパンティング(口を開けてハァハァ息をする)などの症状が出ることがあります。
若いころから陰虚の症状が出ることはほとんどなく、徐々に陰が減って行き、ある程度の年齢になると陰虚の病態が現われると思われます。
陰虚証が進むと、西洋医学的にも診断できる病気になることもあります。
例えば、人間だと女性の更年期障害が陰虚だと思われます。
更年期障害の症状として火照り、のぼせ、イライラ、不眠などがありますが、まさに陰虚の症状だと思われます。
更年期障害なんて西洋医学の病気じゃないかと思われるでしょうが、更年期障害として表面に出る前からおそらく陰虚が始まっていたのだと思います。
すべての更年期障害が陰虚とは言い切れないかもしれませんが、ほとんどの場合は陰虚が隠れていると思います。
重度の更年期障害の場合はホルモン補充療法なども行われますが、早めの時期から漢方薬で身体を整えておくと更年期障害が軽くすむかもしれません。
動物にも陰虚はあります。
動物の陰虚が進行した西洋医学的病気としては、たとえば便秘症、脱毛、糖尿病、夜鳴き、夜の徘徊、犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、猫の甲状腺機能亢進症などがあると思います。
犬の夜鳴きや夜の徘徊に悩まれている方も多いと思います。
これらは陰虚の治療をすることで軽減する可能性もあるので、西洋医学だけでなく、東洋医学の獣医師にも相談してみてください
ひかりの場合はまだ1歳と若いので陰虚ではなく、健康そのものです
しちふくが気になるのは、ひかりのウンチが細くて小さくて固めなことです
ウンチのことや、ひかりを見ていて何となく受ける印象として、「このままだとひかりは将来陰虚証になるのではないか」と思っています。
ひかりが野菜をよく食べるのは、ドライフードに比べて圧倒的に陰の生命力の強い野菜を身体に取り入れて陰虚にならないようにする本能的な行動ではないかと思っています。
ひかりが普段食べるキャベツより「陰の力」の強いキュウリを与えてみました
床にキュウリを1本そのまま置いたら、ひかりとすずねが寄ってきて、臭いを嗅ぎ始めました
すずねはすぐに臭いを嗅ぐのをやめましたが、ひかりは熱心に臭いを嗅ぎ続けました。
でも、結局ひかりも食べませんでした
小さく切って与えても食べませんでした。
ワンコさんだとキュウリを好きな子も多いですよね。
生命力にあふれた食材を食べさせたり、ヒーリングしたりして、ひかりが将来陰虚にならないように全力で支えていきたいと思います