「2月9日は木曜日で囲碁棋士にとっては対局日。

で今棋聖戦を戦っている一力(棋聖)も挑戦者の芝野虎丸(名人)も

それぞれ別な棋戦で対局した。

一力は名人リーグで佐田と、虎丸は本因坊リーグで余(よ)と。

結果は両者とも白星を挙げた。」と川端

 

「で内容は?」と影田

「虎丸は快勝だった。余の中央の黒の一団を攻めて、戦いの中で

黒1子を食いちぎりそこにかなりの白地をつくり、その後はうまくまとめて逃げ切った。

一方、一力は辛勝。途中佐田の石の連絡の不備を突き、シッポの黒7子を捕獲し大利を得たが、

その後、佐田がすごい追い上げを見せた。

文字通り「大車輪のヨセ」だ。」と川端

 

「これに『逆転はさせない。』と一力も必死に防戦かつ応戦をする。

手筋もふんだんに繰り出す。そして最後は一力の半目勝ちとなった。」と川端

「最後ダメが全部つまると黒は1手手入れが必要だった。その分、勝ちが

白に転がった。」と川端

 

「この対局は負けたけど白の佐田の名局だと思う。現棋聖で

勝ちまくる一力をあと一歩のところまで追いつめたのだから。」と川端

 

「また碁のヨセというのは大きいところから打てばいい、という単純なものではない。

死活がからんでくる。死活といっても石を取られなければいい、というものでもない。

例えばセキの形になれば石は生きだが地はゼロになる。石は普通に2眼できればそこは

2目(もく)の地になるが、セキになればゼロ目でつまり地はないことになる。」と川端

 

「並みのアマチュアにとっては一番苦手なところだろうね。死活のからむヨセというのは。」と川端

「だからプロの碁でもさ、悪い方はさ、それを最大限に利用するわけだ。『どうですか。オタクのこの石、

けっこう眼形おかしくないですか。はっきりした2眼ないんじゃないですか。放置できますか。

放置したらすぐ取りにいきますよ。』などと相手に無言の圧力をかけていく。

で、相手はどうするか、だよ。」と川端

 

「ほんとです。石の危険度がどの程度のものか、がわかることも囲碁の実力だから。」と影田

「ほんと、そうなんだよ。でそこが一番、碁で面白いんだよ。」と川端

「優勢な側がどう受けるか、受けないか。などなど。そこをうまく切り抜けていかないと

勝ち碁も勝てないわけだ。」と川端

 

「おっしゃるとおりです。でこれらの対局の棋聖戦への影響は?」と影田

「違う棋戦だがやはり快勝した虎丸は気分がいいと思う。

また一力もいい碁を逆転を許さず勝ち切ったことでこちらも

自信を深めたはずだ。」と川端