「青春を走りにかけて!」            

令和元年6月陸上日本選手権男子百メートル決勝!
山縣欠場の報はあったが
サニブラウン、桐生、ケンブリッジは今ここにいる
そして小池、多田、飯塚も

錚々(そうそう)たるメンツ!
それはこのレースの激戦を予想させた

タータントラックを前にした彼らは燃えていた
「絶対に勝つ!」
その闘志を前面に出した彼ら!

「負けてなるものか!」その意気込みが
彼らの全身から伝わってくる

時刻は夜8時半
永遠のライバルたちの激突!
選手生活を終えても彼らの友情は長く続いていく
ことだろう!

帰ってきたサニブラウン!
全米大学選手権決勝で9秒97を出し、桐生が持つ日本記録を塗り替えた男!
強すぎる男の2年ぶりの日本選手権再参戦だ!

陸上日本選手権男子百メートル!
そこは陸上短距離選手にとって年に一度の巌流島決戦!
負けられない一戦を静かに待つ男たち

令和最初の年の最終決戦!
男子百メートル決勝!
栄光のファイナリストからさらに上の栄光の頂点をかけての戦い!

各選手が令和元年のジャパニーズボルト(日本最速ランナーの意)をめざす!
日本陸上短距離界令和最初の大一番、
いよいよスタートだ!

サニブラウンのクラウチングスタート!
彼は腰を高く天空へ向けた

そして ・・・ 号砲鳴る!

青春を走りにかけた8人の選手たち!
始動!

彼らはスタートにすべてをかける!
それが百メートルという競技!
スタートの遅れは命取りになる!

スタートしてすぐ体を起こし、力強く前を向き走る彼ら!
日本一速い男をめざして彼らは走る!

フライングを警戒してか、サニブラウンは
やや遅れ気味にスタートを切った!
そして余裕を持って前を行く選手を追っていく!

30メートルを過ぎ、スタートダッシュから中間疾走へ!
8人の選手がギアを切り替えていく!
サードからトップへ!
各選手、鮮やかなギアチェインジ!
アクセル全開、全選手がフルパワーモードに突入していく!

ここからサニブラウンが日本記録保持者として
反撃の走りに移っていく!

日本のトップスプリンター8人が走る姿!
選手一人一人の異なるランニングフォーム!
8人の選手それぞれのランニングフォームは
美しくかつ華麗だった!
その走る様はさながら8台の色も形も異なるスポーツカーのようだった

ユニフォームも所属が同じ選手以外はすべて違う!
きっと高名なデザイナーが関わり心血を注ぎデザインし、
送り出したもの!
選手の魅力を最大限に引き出すために!

選手たちは作品であるユニフォームを着て、
この大会を走り抜く!

選手、選手のランニングフォーム、そして選手が着るユニフォーム!
その三者が美しいハーモニーを奏で、溶け合っている!

青春を走りにかける彼ら!
積み上げてきたものや練習の成果が
その走りの一歩一歩に記され、表現される!

優勝候補はいるが、二番手、三番手の選手が
執拗に優勝候補の選手を追い、これにからみつく!

優勝候補とチャレンジャーとの粘り合いとチャレンジャーの食らいつくイメージ!
しかし優勝候補はレース中盤からこの激しいせめぎ合いを振りほどくような
会心の走りを見せる!

30メートル過ぎから
サニブラウンが下馬評通り飛び出した!
今回は桐生との9秒台勢対決、第1ラウンドの戦いだ!

スタートを遅れて出たサニブラウンが桐生に追いつき、
そして前に出た!
サニブラウンの圧巻の加速とグイ出(で)だった!
グイグイと前に出て他の選手を引き離すサニブラウン!

力強い突進のイメージでサニブラウンが走る!
沼が多いフロリダ州、その姿はまるでワニが大きく口を開けて
突進していくイメージだ!

そして流すかのように軽やかにレース後半を走っていく!
トップスピードは時速42.7キロを計時!
このレースで圧巻のトップスピード持続力を見せたサニブラウン!
サニブラウンは桐生の追撃を寄せつけなかった
そしてゴール!

サニブラウン優勝! ゴールタイム10秒02!
向かい風0.3メートルの中での好タイム、大会記録の更新だ!
桐生は2位、3位には小池が入った

レース後、女の子から花束とスポーツドリンクを受け取り、
それを持ってフロリダ大学伝統のワニのポーズを決めたサニブラウン!

サニブラウンは第一人者としてのプレッシャーをはねのけて
栄冠をつかんだ 
己れを信じることで! そして圧倒的な実力で!

彼はこの2年で肉体、競技力だけでなく、
メンタルも強くなって日本にそしてこの大会に帰ってきたのだ!
より逞しさを増したサニブラウン!

このレースに勝ち、世界陸上出場も決めたサニブラウン!
彼はこの勢いで翌日と大会最終日にかけて行われた
二百も制した!
サニブラウンがカタール世界陸上でどんな活躍を見せてくれるのか、
今から本当に楽しみだ!