眠ったアナタに安心して
アタシもまどろんで眠ってみる
社会に戻る瞬間のアナタに
慣れることはできないけど
そのふと途切れた気持の瞬間に
傍に居れるのがアタシでありたいから
服を着たままのアナタが
起きないようにそっと寝返りをうつ
本当は
いつだって
一緒に居たい
本当は
駄々だって
云いたくなる
本当は
アナタの全てが失って
アタシだけ残ればいいのにって思ってる
本当は
物分かりのいい
都合のいい
奴なんかじゃなくなりたい
でも
本当のアタシは今のままなんだと
思う
いってらっしゃい
朝一番の新幹線は
そんな言葉に溢れていたから
「いってらっしゃい」
次の約束もないままの「いってらっしゃい」
さようならと同義語のいってらっしゃい
ありがとう
遠くまで逢いに来てくれて
ありがとう
気をつけて
全部いってらっしゃいに込めて
でも
前に牙が好き、格好いいと云ったことがあってそれからテレビを点けていても見させてもらえないことが多い。
気のせいかな…
風邪っぽい体でただごろごろとベットの上から動かない。
煙草とビール。
頭痛薬も切れてしまっている。
解熱剤も手元にはない。
ごろごろごろごろ…
仕事を持ってまでここに来たアノヒトの一人の時間は壊さないように
神経をアノヒトから外す。
扁桃腺から血の匂いがする。
完全に熱酷いなぁなどと熱めの入浴やありったけの衣類や布を包んで小さくなって丸まってみたり。
アノヒトの視線を感じれば元気だよって笑ってみる。
外は雨だし出かけたくない。
ごろごろごろごろ…
癒してくれ そんな台詞を結局吐いたなぁ…求めてるのは癒しでも何でもないってアノヒト言い張ったのに
でも癒せてるのかな
ごろごろごろごろ…
眠らないアタシを嫌そうに眺めるのは知っているから
真夜中でも目が覚めても動かなかった。
ごろごろごろごろ…
暑がりで布団を外すから寒くなってくっついてくるのも何だか可愛いし。
仕事終わったのかなぁ…
アタシは風邪のせいか具合が悪いのを誤魔化すために呑む酒のせいか直ぐに眠りについてたもんなぁ…仕事できたのかなぁ…何時に寝たんだろぅ…
ごろごろごろごろ…
ぁぁ牙今日も見損ねた。
いつもの発熱じゃないなぁ…こりゃ完璧にうつされてもらった風邪だな…
アノヒトにうつさないようにしなきゃ…
眠りに着くアノヒトから離れてみたり窓を開けっ放しで空気が乾燥するのも防がなきゃ…
ご飯出かける時に解熱剤だけは買わなきゃなぁ…
お腹空いてないのかな…
アタシは別にいらないんだけど…
ごろごろごろごろ…
透明人間が透明人間であるためにする行動。
仕事もゲームも睡眠も妨げないということ。
アタシが具合悪いって思っても酷いんだって知られないようにすること。
何も予定や約束をしないこと。
透明人間だけどちゃんとここにいると幽かな存在と気配りは絶対にすること。
煙草と酒は切らさないということ。
でもやりすぎないということ。
愛しているゎ…とても…
このまま消えて本当に透明になれたらそれはそれでいいのに…
意味のない音だと
アタシの聴覚が捕える
囁くように漏らす「可愛い」を
感情のこもるその発声を
でも
記憶が無くさない
震える色っぽい声
消え入りそうな息遣い
延ばされる腕の力
怖がるような光を変える眼球
いつもより多過ぎたその音に
アタシは
少し寂しく擽ったく歯痒く刹那く戸惑う口癖で
意味のない音だと
アタシの聴覚が捕える
囁くように漏らす「可愛い」を
感情のこもるその発声を
でも
記憶が無くさない
震える色っぽい声
消え入りそうな息遣い
延ばされる腕の力
怖がるような光を変える眼球
いつもより多過ぎたその音に
アタシは
少し寂しく擽ったく歯痒く刹那く戸惑う
「○○分発だから(ブチ)」
…え
…ぇぇぇぇ
到着時間を調べる
こちらからの電車時間を調べる
この時点でワインを1本空けている…
料理の片付け
肌の調子も悪い 熱も下がっていない 身体が重い
だからそのままの格好でばたばたと小物をバックに詰め込む
携帯の電池が駅に着く前に切れた…
駅のコンビニは閉まっていて…
駅員に時刻表に載っていないその電車の到着時刻を聞く
臨時列車…
どうしたんだろぅ…
昼間そんな話を少ししていた。
でも最近アタシタチは逢う頻度が狭くなってきている。
アノヒトも交通費だけできついだろう。
逃避行の先はアタシのとこ…どうしたんだろぅ…
少し笑ってアノヒトが出てくるのを待つ。
全ての乗客が降りていてから一人になって降りてくる。
気づくまで改札で待つ。
何だか二人とも疲れた顔して
ただ何も差障りのない少ない会話で酒を呑む。
それでも
アタシはアノヒトの事を迎えに行く…反射的に。
アノヒトの一人の空間
アノヒトの声
遠い空の下
アタシタチは
遠い空の下に居る
少し前のアタシは
この電話を握り緊めて
はしゃいでいた
アノヒトの声
大好きなアノヒトの声
少し早い時間帯のアノヒトからの久しぶりの電話
こうしてアタシを必要としてくれるなら
遠い空の下で
アタシは電話を握り緊める
どうしたんだろう
体 身体
講演会
イタリアをただ思い出す。
大丈夫だと感じる
アタシ大丈夫だったみたいと。
でもアタシはこうゆう場所の雛壇の上には居ない。
実を伴っていないんだろうか。
でもアタシは間違ったように教えてはいなかった。
雛壇の上のトータルコーディネーターという肩書の人と同じように話す。
あ
でも話術は断然そうゆう人が上。
経験と場数。
アタシには全く足りない。
そう感じただけでも出ただけよかった。
一番最初に伝えたいヒト…
昼間アタシが口出し過ぎたからきっと厭になってるから話せない。
兄様からのメール。
週末はちゃんと休めるのかそんなメール ちゃんと帰ったかそんなメール。
今駅 お腹空いたからパスタ食べようかな
じゃ一緒に食おう
…まだ早い時間のそんなメール。
どうしたのか 不思議。
パスタではなく通り道のレストラン。
ぁぁ…寂しくて暇なんだ 兄様、ただそれだけなんだ。
そんなでもアタシを拾う兄様もアタシもきっと何も求めてはいないんだろうな。
帰り道 昔の事を思い出す。
もう振り回されて捨てられるのは御免だと。
相手が誰でも相手がどうでも。
兄様にふと聞く 若かった頃の事実。
喧嘩も口答えもしない そうやってお互い何もかも有耶無耶になかったことにする。
お腹が空いていたはずなのに殆ど喉を進んでいかない。
水だけが胃に落ちる。
美味しいはずなのに喉を進まない。
その状態が5回も続くと飽きて諦める…もういらないやって。
だから最近外食は苦手。
アノヒトと居る時も美味しいのに途中で要らなくなった。
ヴィノだけが潤おしてくれた。
少しだけの量ででも食べたくないわけじゃなかった。
あんまり美味しそうな顔しないみたいだ。
目の動きだけで感情を読み取れるそう云っていたヒトがそう云った。
欲求が少ないだけなのかも。
必死で追い求めても結局同じ結果にしかならないことがここまで繰り返されたせいなのかもしれない。
それはアノヒトと付き合う前に戻ってしまっただけの話。
美味しいものもいい店も全部興味しんしんに吸収しているけれど…大抵。
楽しんでる。
アノヒトが
アタシを捨てるのはいつなんだろう。
カウントダウンが始まっている気がする。
アタシが
アノヒトを諦めるのはいつなんだろう。
悲しみの先にまたいつもの無空間が広がっているんだろうな。
何かを察したのか
優しくしてくれるから。
泣きそうになった。
迎えに行くから待ってろって。
2回連続だな 迎えに来てもらって送り届けてもらうの。
自分の日常を見せてくれて
一度行った通り道のお店を教えてくれる。
この道からこうやって通って…どうやって帰るんだ。
優しいな…こうゆうのが多分幸せなんだろうな…
「いいの?」
「何かあったんだろ?熱もあるんだろ?体きついんだろ?」
「…疲れた…」
「とにかくそこで降りてればいい、今日暇だから店閉めて向うから」
優しすぎて怖い…
好きだった頃優しさが辛かった。
誰にでも同じように優しいのだと嫉妬とかした。
それでも今はとても泣きそうになった。
無頓着な無感情な兄様が少し優しくなったのは知っていたし、
気にかけてくれたり怒ったりしてくれてたのは知っているから。
熱のある体を気にして上着をかけてくれる。
雷の鳴った大雨の道路をそれでもゆっくりと家に近付けてくれる。
泣くことができなくなった感性が少し潤う気がした。
悔しいわけではない涙が流してみたい。
帰宅途中も何度もメールをくれる。
「熱下げろ」と。
食事も薬も受け付けなくなっていることは伝えてない。
何度も暖かくして寝ろと云ってくれた。
兄様こそ
寒くなった季節、忙しい仕事なのだから体調に気をつけてください。
安心をくれてありがとう。