今日はくどうれいんさんのエッセイ集『虎のたましい人魚の涙』に収録されているエッセイ『うどんオーケストラ』の話がしたいです。


アィヤァ!


M-1の次はR-1が楽しみですよね。



数年前にこの本を主題にして読書感想文を書いたのですが、いろいろ考えた挙句、ほとんど『うどんオーケストラ』の話をしていました。たぶんそれを少し直したやつを前に投稿した気もする。


それくらい自分にとって特別な意味のあるようなエッセイに感じたんですよね。そのとき。



はっきりとは覚えてないんですけど、その読書感想文を書くにあたって、当時の芥川賞審査員の評を読んで「芥川賞候補ってだけでもとんでもなくすごい作品だろうに、こんな手厳しいこと言われるんだ」とびっくりした覚えがあります。


文中にもありますけど、芥川賞候補に選出されてから結果が発表されるまでの間に書かれたエッセイって、すんごい貴重な文章ですよね。もしかしたら結構あるのかもしれないけど。あったとしても貴重。



細かいところで言うと、半袖でうたたねしたあとの二の腕の冷たさをわらびもちに比喩するのは、なんだかくどうれいん風味溢れててとっても好きです。このエッセイの枝葉なのかもだけど好きです。




読書感想文関係なく、このエッセイを初めて読んだあと、なんとなく自分もブロック崩しを始めました。たぶん全然違うアプリやらサイトやらのやつなんだろうけど、ブロック崩しで淡々と作業をしていく感じが、頭が動いているような動いていないような感覚で、確かに気を落ち着かせるような効果があったように思います。


すごい暗いエッセイの導入だと思うけど、その暗さに全て質感とか質量を感じて、生々しい没入感を感じます。やっぱりこのエッセイがこのエッセイ集の中でもいちばん好きです。







ぼくが入ってる美術部は、美術部としてなるべく全員が参加する大会が毎年冬の口にある県総文だけなんですよね。そのなかで特にいいね!みたいに審査されたひとは翌年の全国総文に出展できます。とどのつまり、全国総文への審査を受けられるのは二年生までということです。


一年生の頃に県総文に挑んだときは、程度こそ明かされていなかったけど、だいぶにべもなく落選した感触がありました。


だからってわけでもないけど、二年生の県総文は「絶対選ばれたい!選ばれたい!」と思って挑みました。


美術部ってのは運動部や吹部と比べると楽な部活だいう否定できない認識が校内にはあって、自分たちがしていることが軽んじられているような感覚がありました。もちろん褒めてくれる先生や友達はいましたが、贅沢にも「ちゃんと美術に精通した、正式なひとに評価されたい。コンクールで表彰されたい」と思っていました。


そして全国総文に選ばれたなら、大会前の運動部のと並んで校内壮行会にでることができます。全校生徒の前で美術部として花道を歩いてみたいな、とぼんやり思ってました。そのチャンスは二年生の総文で県代表に選ばれることでしか拾えません。



中高とまがりなりにもやってきた美術でなんらかの目に見える結果を残して終わりたい、というような気概が少なくとも一年生の一月ごろにはありました。



「大会のために必死こいて頑張る」だなんて漫画みたいだなあ、なんてことをずっと思っていました。漫画なら最後選ばれて終われるはずだろう、とも少し思っていたようにも感じます。


美術の大会はもちろん自分の自信がある絵を出品するだけなので、「大会を意識した練習!」とか「本番当日緊張でやばい!」みたいなことは全然ありませんでした。実際その大会は11月ごろにあるんですが、それに出品した絵は9月には完成していました。


楽ではあるんですが、「結果を残すことを切望している大会のためにできること」がもう何もない状態で2ヶ月くらい過ごすのはだいぶ辛かったです。楽ではあるんですけど。



出品した絵も、すごい自分らしくて今まで描いた絵の中ではいちばん完成度高いんじゃないか、と思っていたし、大好きな作品でした。これでだめならまあ仕方ないかな、ってくらいに。



あまりにも規模が違いすぎて恐縮ですが、当エッセイのくどうれいんさんがおかれている状況と同じように、「出品して会場に飾られているけど、審査結果はまだ発表されていない」期間が数日間ありました。


その期間がいちばん「部活してんなあ」っていう実感がありました。

 


結局選ばれはしませんでした。


県内で5位までに入ったら全国総文に選ばれる、というところで8位に入賞しました。8位、というのも後で先生がこっそり教えてくれて順位なので、正式に表彰を受けるられるような結果でもありませんでした。残念。



敗戦の結果を先生からのLINEで知ったとき、ぱっと言葉が出ませんでした。漫画だったら、なんかかっこいいセリフを言って退場していくんだろうけど、ぼくは少し経ってから「えぇ…、俺のやつの方がよかったやん…」と言いました。仕方ないというか納得はしてるのに、口がそう言いました。残念。



その後って何考えてたんだろう、と思って日記を読み返してみました。「今なら許せる気がしたけど、まだ許せなさそうだった」って書いてありました。


でももっと読むと、どうやらその日も絵を描いてました。えらい。その絵はいまもう出来上がっているけれど、それはたぶんなんの大会にも出さない気がする。


もう壮行会に出るチャンスもない。



そこらへんの時に、くどうれいんさん全国高校生文芸コンクールの表彰式でのスピーチを読み返したような気がする。




ほんとにこのエッセイが好きなんだけど、それを上手く書けない。おわったことの恨み節しか書けない