38年。


僕らは


可能性とか夢とかを


刈り取られ


ひとつの形に固まる


いのちのかたち



いったん


方向づけられたら


その方向へすすむ以外なくなる



帰れない?


どこに帰るのさ


孵れない?


あかんぼからやり直すとして


君は今のようではない形の人生を


願えるだろうか




38年を生きてくれば


それなりに持ち物が増えてくる


その持ち物がよくないものだとして


捨てることができるのだろうか


    ※



繰り返し酒井法子のうつくしい破滅をみてる 疲れた眼をして






「ガチャガチャっていま


ガチャガチャっていわないんだって」


「じゃなんて」


「ガシャポン」


「ガチャポン?」


「ガシャポン」


「ガチャピン?」


「ムック」


「ポンキッキっていま


ポンキッキじゃないんだって」


「じゃなんて」


「ポンキッキーズ」


「ああ、斉藤和義の」


「歩いて帰ろう」


「帰らない」




カプセルを踏みしだくと


卵の殻の割れる音がした




膝かかえ胎児のポーズをとっている 帰れない/孵れないと知ってる

ガチャガチャの透明カプセルに

守られて


小さなたましいが

寝息をたてている



みずからの体を

いつくしむように

膝をギュッとかかえて


   ※


ガチャガチャのプラスチックのカプセルに小さな人のたましい宿る

不変不滅のものとして

うまい棒は君臨する


酒屋のあととり息子が

レジを打つコンビニで

わたしたちは

おとな買いという

さむくさみしい散財をする


チーズ味

めんたい味

とんかつソース味

えびマヨネーズ味

テリヤキバーガー味

コーンポタージュ味


化学調味料に

舌をしびれさせながら

20世紀より

みじかくちいさくなっている

うまい棒の変遷を

わたしたちは

わたしたちの

成長として

すりかえる


*



コーンポタージュのなれのはてのこなごなをなめとる(遺伝子組み換えでない)




小学生のころ恐怖した


「ノストラダムスの大予言」。

1999年の7月。


世界が終わる予定が


しるされていた




ところで。


世界はあっけなく21世紀を迎え


もう9年がたとうとしている


 

君の体内には


20世紀と同じように


О型の血液がめぐっている


僕の体内には


相も変わらず


B型の血液がめぐっている



人は区切りをつけたがる


人はそして、区切り自体が好きだ


圧倒的に多い不変の部分より


変化した箇所にばかり


気をとられている



*


血液で動く不出来なシステムがお菓子を口に運んでいます