この夏は

献血ルームで

会いましょう


冷房もベッドも

テレビも雑誌も

飲みものもお菓子も

おもうがままでしょう

すこしの血とひきかえに


あなたは堂々の400㏄献血を

わたしはなけなしの成分献血を


二の腕の脱脂綿をおさえつつ

看護師のしなさだめをしましょう


ドライブがいいなら

献血カーに

乗りましょう


カーテンを閉めて



わたしとはまじわることのないままに他人の体をめぐるB型




皮膚のしたを



はしる血管



肉体の表面から



奥ふかい肉の暗がりまでを



はしる血管



真夏の夜


歯のうらがわまで愛し合う



      ※


口づけて歯のうらがわをさぐりゆく真夏の夜の嘘に痺れて


カブトムシみたいに

すいかにかぶりつく


あかあかした肉を

歯でこそげとる

皮きわきわの白いところは

西瓜ではなく

瓜の味である

爪の味かもしれない

瓜に爪あり爪に爪なし


知ったこっちゃない


皮に爪たてて

種を吹く


*

目隠しをはずし見おろすたったいま割ったすいかのような世界を








たましいは


しろい骨についた筋肉のように


あかあかと動く方がいいと思う




この夏


僕のたましいは


沸騰しているお湯のようだ



昆虫のように


そとがわの硬い殻で


形をあやうくたもっている




つややかな2枚の羽を広げたらカブトムシゆけ夏のひぐれを





日焼けした

せなかの皮を

爪で剥く


ぴりぺり


「脱皮か」

「脱皮だ」


あたらしい皮膚は

ふるい皮膚より

ほんのすこしだけ

白い




生まれなおしたいのだろうか

このひとは



むきだしのたましいをもつひとのむきたてのたまごのような薄皮