太鼓の動作解析、中間報告 | コバやんの祇園祭レポート&雑記帳

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京都・祇園祭の山鉾町で生まれ育ったおっさんのブログです。

6月6日、函谷鉾執行委員会(直前1)
6月12日、郭巨山保存会打ち合わせ会
6月18日、函谷鉾執行委員会(直前2)
とお祭まで1ヶ月の6月の主な準備会を順調に消化しました。
毎年「例年通り」にするために4月ごろから“準備のための準備”を重ね、
あとはレールの上を進むだけの7月です。
とはいえ毎年何かしらアクシデントがあるものです。
お囃子の練習も今年から6月に2回することになり、16日(土)と23日(土)とあと1回で本番です。
 
そして今日(20日)、先日に行われた太鼓方の動作解析の中間報告会がありました。
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中間といっても莫大な情報量(一人、1分間の曲を3回し、約3分間を2回。テンと1回打つだけで4ギガ)の中から、そのテンと打つ動作のバチが太鼓の表面に当る1秒前の動作を1000分の1秒刻みで85回打った動作の、バチ先、バチ根元、手首、ヒジ、肩の5ヶ所の動きの報告でした。
 
表の横軸は左端が1秒前、右端の0が当る瞬間。1本の線が1回の動作。85本の線の集約です。
縦軸は動きを表しているのですが、単位は・・・すみません、聞き漏らしてしまいました。
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上が息子で下がコバやん。やはり親子なんですかね。似たような曲線です。
違うのはバチの部分。コバやんの山が息子より右端に寄っています。
これは最後の打つ直前の手首のスナップがコバやんのほうがコンマ何秒か“タメて”スナップを利かせているのだそう。
その部分を抜き出したのが下の「バチ先合成速度」
横軸は1秒間、縦軸の+は太鼓に向かう動き、-が離れる動きだそうです。
離れる、というのがよくわかりませんが、コバやんのほうが当る寸前に向かっています。
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他にも4人(ベテランの親子1組、ベテラン1人、中堅1人)のサンプルがありましたが、
フォームをまとめる者はなだらかな曲線。10年未満の経験の息子2人は線がまとまっていない傾向でした。
6人のなかでコバやんのバチ先が一番速い速度で手首が返り、その分“タメて”打っているそうです。
35分の1秒のコマ送りで動作を再生すると打つ瞬間までバチが立っていて、ヒジを振り下ろして打つ瞬間、ギリギリのところで手首が返っているのがよくわかりました。
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マーカーの点だけが映し出されると頭の傾斜(俯き加減)、息子たちがヒジをすぼめて打っていること、
ベテランはヒジに余裕があることなどなど、普段から指摘していることが如実に記録されていました。
 
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何が正しい打ち方(フォーム)、というものは厳しく指導していません(よほど不恰好なものは指摘しますが)。出している音が正しければいい、と思っています。しかし、その正しい音が難しい。
そのために練習します。コバやんは大先輩から「メリハリが大事」と教わりました。
 
祇園囃子は祭り囃子です。囃子をするほうも、聴くほうも楽しくなければ神様も楽しんでいただけません。
悠長な「渡り囃子」は厳かに。「戻り囃子」は軽快に楽しく。これを大事にしています。
今回の動作解析はベテランの技術に息子たち若手が足りないものを教えてくれた貴重な経験でした。
 
もっといろいろな解析研究もしてもらえればありがたいのですが、
あと一つのサンプル。囃子方50年、太鼓方40年のコバやんと1年後輩のN君の二人で打ったサンプルがあり、その解析報告が楽しみです。
 
このような貴重な経験と報告をしていただいた京都工芸繊維大学の皆さんに感謝しています。