『空海上人行くべくして中国とゆく』
弘法大師空海は留学して本来二十年勉強しなくてはならないところ、足掛け三年、正味一年で帰国したのは、これ当然の帰結これなり。
この大聖大尊、虚空蔵求聞持の法に依りて、真実、密門胎蔵一命の真理を開いて、六年以上真如一冥と修行なして、それを体得成していたに、その必然の帰結として中国にもその命の定め、約束によりて、目的をもっていったのであり、恵果大聖より、法灯を受けたのもこれ、人の計らいのおよばぬ道のすがたと示すなり。
恵果大尊者また(伝法阿闍梨)それをよく知るに、一目でそれを知るとは示すなり。
ゆえにそれはなるべくしてなり、あるべくしてあったのであり、ただ灌頂受法の式次第を受けゆきたと知る事なり。
すなわち、法灯を受け継ぐ為に中国にゆきたとこれを知る事なり。
これ真と至らぬ者が百年、千年考えても、実のところは解せぬなり。
みな大いなる道の成す事なりて、ただ、至りた当人と、神仏界のみこれを知るとは示すなり。
遍照金剛とは、実と名づくも、人の世界にあらずなり。
みな大日如来界の計らいなると教えるなり。
ゆえにみな、必然の出来事にして、偶然と思うは誤ちなると知る事なり。
太陽の法嗣
大日 天光子
合掌