大男の涙 | 太陽王法の会


『大男の涙!』


宗教の対立は無知で愚かな行為であるからやめなさいと教えを説く者に対して、一人の大男がいて、『あんな奴は俺が踏み潰してくれるわ!』と言って、人々にふれ歩いていたところ、その大男はある日こんな夢を見る事になったのです。

その大男はいつものように、正しい法を説く者の事を、『俺が踏み潰してやる!』と人々にふれ歩いていたところ、彼の法を説く者が目の前に現れて微笑み、『それならやってごらん!』と言ったので、大男は、『お前などひと踏みだ!』と言い、その人を押し倒して踏みつけたのですが、なんの感覚もなく、踏んでも、踏んでも、
その人は微笑んでいるばかりであったのです。

大男はむきになって、これでもか、これでもか、と踏みつけて、汗ビッショリになっていたところ、急にその足もとが雲に変わり、その雲を夢中に踏んづけていた自分に気づいたのでした。

大男は疲れた果ててその場にひっくり返ってしまい、雲の上であお向けに寝て、そのまま天を見ると、真っ青な青空が輝き広がっている事に気づいたのです。

その青空を見つめていると、心が澄んできて今までの荒れていた心が嘘のように引いていったのでした。

その青空に彼の法を説く人が大きな光となって姿を現して微笑むと、

『わかったかな、これが私の心であり、命である。

たとえば汝等が、人の肉体としての私の身体を踏み潰せても、その命は踏み潰す事などできないのです!

汝等の踏んだその雲が私の心であり、この澄んだ大きな青空が私の心であり、命なのであるから。

そして大男よ、
この青空と雲の心は汝等の心、汝等の命でもあるのだよ。

それに気づいて世の中の為にいきるのですよ!』
と言い、その大男の心に光を注ぐと姿を消したのでした。

大男の心はすっかりと洗われて、今までの迷いの眼は洗われるように流され、そこから止めどなく涙が流れてきたのでした。

その歓喜に包まれて涙の雨をふらした時、天もまた同じように、涙の雨を光の中にふらして喜んでくれるのでした。

目を覚ました大男は、自分が涙で枕をビッショリと濡らしている事に気づくと同時に、その夢の中での歓びの心が、そのまま自分の中で輝いている事を知るのでした。

大男は、その場に正座をすると手を合わせて、あらためて涙を流すと、これから世の中の為に暮らしますと神仏に誓ったのでした。

そして本当にそれからは、心優しく大きな心の人となり、人と人の世の為に生きて暮らしたのでした。

人々よ、
友よ、
この青空は汝等の本性であり、本源の心である。

そしてその雲はまた汝等の心である。

その雲は全て因縁によりて生じ、因縁によりて滅し、生滅変化しているのである。

この心が、空であり、仮有であり、
仮有であり、空である。

すなわち、全てにおいても、色は仮有であり、色はそのまま空である。

色即是空・空即是色にして、その本源中道にこそ青空が輝いて一杯に広がっているのである。

その青空を青空として輝かしめているのが、太陽であり、日輪である。

これが摩尼であり、宝珠であり、命の本性である。

この命を全てが持っている事を知りなさいと教えるのである。

全ての対立と迷いを棄てなさいと説いた人は、その太陽の化身であり、大日如来である。

その説かれた大男とは、迷い対立する全ての人々であり、宗教法人である。

友よ、汝その迷いの雲を出でゆきて、青空と帰る事を知る事である。

そこにこそ本当の自由があり、自在の心、命が生まれるのだから。


太陽の法嗣

大日    天光子

合掌