アンドレ・シトロエン
自動車で有名なシトロエン社のオーナーで技術者でもあり
経営者でもあった。
フランスだけでなくヨーロッパ全域のギャンブルの世界で知られた
ギャンブル狂で、コートダジュールでも多数の逸話を残した。
英仏海峡の保養地ドーヴィルのカジノの常連で一等客、
そのカジノでの逸話がもっとも知られている。
ギリシャ人ギャンブラー、二コラ・ゾグラフォスと三日三晩、
天井なしのバカラで対決、当時としては記録的な二千五百万フランの
負けを喫した。
そのとき夫を捜しに来たマダム・シトロエンは一直線に
バカラ・テーブルに歩み寄り、夫の手をつかんで無理やり立ち上がら
せると顔に平手打ちを食らわせ、
その後二コラに「何てことをするの?」と食ってかかったが、
二コラは「シトロエンの車が誰かを轢いたとき
シトロエン社が訴えられないのと同様、彼の敗北は私の罪ではない」と
反論したという。
当然の反論だった。