次は経営になる。

販売店での七分(しちぶ)組の自転車の荒利は販売価格の35%程度になる。電動に限ってはハンドル調整程度なので20%代前半と利幅はすくない。不要なオプションをテンコ盛りするのは、部品は50%の利幅があるからだ。うまくいってギリギリ経営というのが実態になる。

 

第一次ブームが過ぎたころ、貧乏するなら自転車屋と揶揄された時期があった。金融機関の融資リストから削除された時代だ。理由は販売に対する利幅が少ないことだ。

この利幅は家族経営が基本であったころの、なのこりと言ってよい。50年前は五分組またはバラ入荷があり、もう少しは利幅があったが、現在では量販店だと九分組30%程度の利幅しかない。

 

私もお客さんから「独立したら!」と言われることがあると「貧乏するなら自転車屋です」といっていた。はっきり言って趣味でなければ続けられない商売ということになる。

プロショップと言っても、在庫を抱えてしまっては経営は一気に頓挫する。しかも誰も見向きもしない50万円前後の自転車が在庫の主力となている。ここで在庫処分をするために安売りをするわけだが、自転車には体格によってサイズが10ミリ間隔で用意されている。体格に合わない自転車を購入させられたら、すぐに挫折するのは間違いない。尚更ユーザーを減らす結果を作っている。プロショップの終焉である。

 

さて、量販店の場合はどうか。HCやSMなどの多品目をそろえる店舗は、単体事業で見れば完璧に赤字である。都市部の駅周辺でトントンであろう。特に電動アシストを主力に販売している店舗は、売り上げに対する利幅が少ないので、数字は高くても実態は救いようのない赤字経営だ。

では全滅か!というとそうでもない。一番の大手販売店は製造から販売までを自社対応で黒字経営を続けている。ユニクロ方式だ。

 

さて、自転車業界に未来はあるのか?ということになる。街の自転車店はすでに電器店と同じ運命にある。量販店も赤字経営が続けば撤退は確実だ。そもそも日本の総合自転車メーカーはブリジストンサイクルだけとなっている。パナソニックとヤマハは電動アシストの専門メーカーだ。ブリジストンが撤退すれば全滅となる。台湾製や中国製が市場をすべてカバーするようになる。

 

戦後の30年代輸出経済を支えたのは自転車産業と繊維産業であった。繊維産業は素材産業へと変貌をとげた、アパレル業界は輸入に頼ることで利幅が比べられないほど高くなった。対して利幅の薄い一万円自転車の時代が定着したのも大きな壁となった。デフレ経済で多くの製造業はへこんでしまった。

 

家内工業から脱却できない日本の自転車業界に光はあるのか?

自転車の組立てや修理をこなせる自転車整備士(技士)ならびに自転車安全整備士の技術者は、販売業務に傾注するリアル店舗(路面店)=不況業種から撤退をすることだ。販売は量販店とネット販売に任せて、都市部で活動している出張修理という、あくまでも家内工業に徹していくことでタイミングを待つしかない。

自転車は非常に便利な移動手段だ。その便利さの一方でメンテナンスは皆無といっていい。空気さえ入れないユーザーも多い。バンク修理だけではなく消耗品の交換は必要になる。安価といっても3万円以下の自転車なら部品の寿命も短い。不況業種が店舗でお客を待つ時代ではない。出張修理で生き延び、技術を生かし続ける道はある。