ロンジ写真館『蝶の眼薔薇の声』

その5『残暑』


写真・文by ronji


どこまでも続く向日葵畑に揺れる影
草臥れたトランクに腰掛けてバスを待つあなたの背中
夕陽を埋め尽くす赤蜻蛉の群れ
錆びた自動販売機

(大切にしている記憶はいつも大切にしなかったものばかり)

たとえば故郷の空の色とか
あなたの胸のポケットで潰れた煙草
熱風が行き渡る 帽子が飛ぶ

ゆらり ゆらり浮かんでは消えるのを
後悔と呼ぶにはあまりにも遠すぎて
目を細めた先に探すのはこの世の果てを見に行ったまま
私を置き去りにしたあなた



『残暑』文by 70rock


この世の外へならどこへでも !!

絶対の自由を希求する心がある以上、

ヴェルレーヌの2発の銃弾も

どうして彼の放浪の魂を繋ぎ止めることができたろう。


母音の色で世界を染め尽くしてしまった以上、

色彩のない灼熱のサハラに逃亡する以外、

彼にどんな選択がありえただろう。


夏は逝く。

永遠の旅人の

放浪の季節に終わりがくる。

怖るべき無限に驚くときが。



私70rockと冷やし蜥蜴寫眞館 のロンジさん

とのコラボレーション、

ロンジ写真館『蝶の眼薔薇の声』の第3回です。


月曜の夜にロンジさんの写真と文章をアップ。

その写真と文章に触発されて私の灰色の脳細胞に生れた言葉を書きつけ

1枚の写真と2つの文章を週末の土曜or 日曜に再アップします。


その1『指輪』

その2『紫陽花』

その3『装置』

その4『Nine Lives』