ブログ【冷やし蜥蜴】
当ブログは画像置き場で
テキストは私やあなた、未知の誰かについての物語です
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其れ
洗濯物がはためくその下で
ミニトマトの樹がアブラムシまみれになっている
植物の汁しか知らない透明なからだの集まりを見ていたら
むかし あの子が作ってくれた花冠を思い出した
マーガレットの萼に群がる虫に気が付かなかったあの子の指はよごれていたけれど
私は臆せず冠をあたまに載せたし 手を繋いで一緒に土手を駆けた
そしていつか私たちは詰まらない理由で会わなくなった
(真珠色の歯を持つあの子 母よりも好きだったあの子だのに)
樹を素手で引き抜いてビニル袋に入れると
濃くあおい匂いが古ぼけた記憶を追う
でも 今はもう指先を見られない
『Comin' Concern』オフィシャル・ブログと
『冷やし蜥蜴寫眞館』のコラボレーション、
『蝶の眼薔薇の声』にも、どうぞ。
声
あの日たしかに
コインロッカーのなかから声を聞いたような気がしたのです
それは私の良心がむせぶ声だったのでしょうか
それともあなたの安堵のため息だったのでしょうか
私は珈琲の空き缶に煙草の灰とちいさな鍵を落として棄てました
それからです
私に朝が来なくなったのは
『Comin' Concern』オフィシャル・ブログと
『冷やし蜥蜴寫眞館』のコラボレーション、
『蝶の眼薔薇の声』にも、どうぞ。
秘密
画像は2009年1月30日の【冷やし蜥蜴】より
あなたについての悪い噂が
あなたをもっと華やかに飾り立てる
十八年前
燃え盛る炎があなたの家を包み
夜空を焦がすように伸びているのを
これでほんとうによかったんだよねと
二人 歯を鳴らしながら物陰から眺めた
あのとき炎とすり替わったあなたを
私は今も物陰からみている
『Comin' Concern』オフィシャル・ブログと
『冷やし蜥蜴寫眞館』のコラボレーション、
『蝶の眼薔薇の声』にも、どうぞ。