1.タイトル『指輪』


ささくれ立った床板に結婚指輪と女ものの黒い靴下が落ちておりました
私はそれらを拾い上げたのですが
なんだかとてもきたないような気がして
赤々と燃える暖炉に投げ入れたのです
靴下はあっという間に溶けちまいましたが
指輪は胸の奥でくすぶる恨み言のように
炎を纏ってそこに在るだけでした

するとあなたは火箸で焼けた指輪をとり
薬指に嵌めました
そして指には金属よりも強くてうつくしい
約束のしるしが刻まれたのです

それなのにまだ暖炉のなかでぐらぐらと燃え続けているものは
いったい何かしらね
私は決して点けてはいけない炎を放ってしまったのかしらん?


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私70rockと冷やし蜥蜴寫眞館
のロンジさん

とのコラボレーション、

ロンジ写真館『蝶の眼薔薇の声』

の第1回です。



月曜の夜にロンジさんの写真と文章をアップ。

その写真と文章に触発されて私の灰色の脳細胞に生れた言葉を書きつけ

1枚の写真と2つの文章を週末の土曜or 日曜に再アップします。