最近気になるブログで手術における麻酔体験と死について書いてある記事を読みました。


落武者はこれまで、たった一度入院と全身麻酔による手術を経験したことがあります。

ある年の夏、風邪を引いて耳鼻科を受診しました。

本来は内科なんだろうけど、熱は無くて喉の痛みが酷かったから。


喉の検査をしたら、紹介状を書くから、すぐ大学病院へ行けと言われたのです。

声帯のところに腫瘍があるとのこと。

手術になるから大学病院紹介すると・・・


単なる風邪のつもりで受診したら、紹介状ですよ。
いやー、覚悟をしました。

誰だって癌を疑うでしょ。

その時、耳鼻科の先生は、癌かどうかは切り取った腫瘍の細胞組織を調べないとわからないとは言っていたけど(そりゃそうだ)、落武者はもう癌だと思いましたね。

しかも、当時30代後半だから進行性の癌であれば助からないと覚悟を決めました。


そんでもってその足ですぐ大学病院に行き受診。

その日は診察のみ。

次の診察でいろいろ血液検査とかして、その次の診察で入院日時の決定。


約一ヵ月後入院。

入院した部屋は6人部屋。

うち、3名が喉頭がん術後の患者さん。

残りの3名中、1名は高校生。

この子の病名は忘れました。

もう一人が落武者と同じ日に入院した患者さんで、手術日も同じ。

病名も落武者と同じで癌疑い。

そして、落武者。


約1週間後に手術。

病室で点滴して、いざ出発。

もうこの頃には病室の患者さんと仲良くなっていて、みんなエレベーターのところまで見送りにきてくれました。

心強かったですね。


手術室ではまず注射を打たれました。

何の注射だったんだろうね。

それから酸素マスクのようなものが上から降りてきて、看護婦さんに

「はい、麻酔かけますねぇ。いち、に、さ・・・」

看護婦さんが数える3の途中で落ちました。


最近気になるブログの人も書いていましたが、これで死ねるなら怖くはないですね。

痛くもなく、なんの感情もないまま意識がなくなるのだから。

もちろん、手術の失敗による死という考えは、ゼロとは言わないまでも努めて意識しないようにしました。

あくまで手術の麻酔は、再び目覚めることを前提としているのですから。

もし、これが死ぬため(安楽死とか)の麻酔であれば、また違った感情に襲われるのだろうけど。


さて、手術中、落武者は夢を見ていました。

加藤清正の虎退治の夢です。

なんでそんな夢を見たのかいまだにわかりません。

内容も覚えていません。

ただ清正公の虎退治だった。


「落武者さん、落武者さん。」

って声をかけられ、現実世界に戻りました。

寒くてねえ。

術前に術後声を出してはダメと言われていたのですが、思わず、

「寒いよぉー」

って情けない声をあげたのを覚えています。


手術の結果は、こうして愚痴りながらも生きているので癌ではありませんでした。

ただ、同じ日に入院して、同じ日に手術をした人は残念ながら癌でした。

元気でいるでしょうか?

あの部屋の患者さんたちは今どうしているのでしょうか?


もう20年も近く前の話です。



2017.2.9 一部改訂


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