Wed. 24. 4. 2024



ホットコーヒーを購入してから

最近のお散歩コースになっている海へ行き

ワンコと一緒に車の中から風や波を香る。


フロントガラスにポツポツと雨模様が増えると

たらりと花粉だか黄砂が流れ落ちていった。



今日、お散歩できる?とワンコ。


雨でも嫌じゃないならできるよ、

どうする?お外出てみる?と私。



その後、結局抱っこを催促されて

全くお散歩にならなかった。


車に戻ると特等席にすっぽりと入って、

ドライブにしよう?と尻尾を振っている。



車に乗る時はいつも

一緒に前見て右見て、左を見る。


坂道のカーブを曲がるときにはベッドの中で

前足を踏ん張りながらカラダを傾け、

得意げにバランスをとっている。


その姿が、声を出して笑ってしまうくらい

可愛くてたまらない。



今朝のドライブでは、

顔面いっぱいに風を浴びて目も開けられず

耳も後ろにめくれているのに、

満足そうに尻尾を振っていた。







海の街の朝はわりと静かだ。


漁港付近はトラックや人で賑やかだけど、

それでも私が子供の頃と比べたら

うんと静かになったように思う。



たしか私が5、6歳の頃だったと思う。

漁港で、母のバッグが盗まれたことがあった。


父の友達が大勢でバーベキューをしていて、

少しだけ顔を出しに行ったときだった。


すぐそこだしすぐに帰るからと、

当時父が乗っていたパジェロの窓が開いたまま

バッグを置いて出て来てしまったのだ。


それほど昔は治安が良かったということなのか、両親の危機管理能力が低かったからなのかーー


どちらにせよ、今の時代じゃ考えられない。
目と鼻の先でも、例え施錠をしたとしても、
無くして困るものを放置するなんて。


車に戻ると、バッグがないと慌てふためく母。
もちろんお財布を含めたあらゆる貴重品は
全てバッグの中に入っていたらしかった。

母とは反対に父はものすごく冷静だった。
コンビニに寄ろうか、くらいの温度で
「とりあえず警察に行こうか」と言った。

というより、今ならよくわかるのだが、
「冷静」というより「大したことない」と
おそらく思っていたんだろう、とおもう。

「命が取られるわけじゃないと思えば、
大したことはない」と父が言っているのを
何度か聞いたことがあるからだ。


とはいえ「警察」というワードと、
動揺する母を目の前に、幼い私も妹も
今、大変なことが起こってる!!と
口にせずとも緊張したのを覚えている。

そして、泥棒という人が
世の中には本当にいるんだなと。



それからしばらくのことは覚えていないけれど、

1週間だったか2週間だったか日が経った頃に

バッグが見つかったと警察から連絡が来た。


地元の漁師さんが、投げ捨てられていた

母のバッグを拾い上げてくれたのだった。


現金以外は全てあったようで、

なぜか私と妹も連れられて

その漁師さんの自宅へ菓子折りを待って

お礼をしに行ったのを覚えている。


お礼をしに行ったはずなのに、

私と妹にジュースを持たせてくれて

とても人が良さそうな夫婦だった。


父が自分の父(私の祖父)も漁師だと話すと、

面識はなかったそうだが

船の名前と住む町の名前でわかったそうで

話が盛り上がっていたのも覚えている。



令和。警察に相手方の電話番号や住所を聞き

電話や訪問することも今となっては珍しく、

個人情報保護のためにもほぼないに等しい。

そう考えると、時代の変化をかんじる。



漁港付近を通るたびに、

母のブラウンの皮のバッグと車のパジェロ、

車の中で流れていた「夏の日の1993」、

お礼をしにお家を出る前の

ひんやりと冷たい玄関ドアの感触、

薄暗い知らない家の庭とは裏腹に

気さくで優しかった夫婦の顔と声、

程よく冷たいつぶつぶみかんの缶ジュース、

延々と聞こえる母の反省、いろいろ蘇る。







ワンコとドライブの途中、

バス停で一人立っている女性に目がいった。


パルムのようなアイスを食べていた。

傘もささずに。午前、8時前のこと。



ツッコミどころしかない。



のどかだとか、治安がいいとか、

そういう話でもない気がするけれど、

つい、平和だなぁとおもった。



傘もささずに一人佇む女性を見たら、

見えないはずの人を見てしまったのか、とか、

もしくは何かあったのかと心配になるけれど、


どちらにせよ、

アイスを食べているというだけで

怖くもないし心配にもならなかった。


食べたかったんだろうな、って。

珍しい朝食か?って。

お家で食べる余裕はなかったんだな、って。



いろんな人がいる。

常々おもう。

本当、いろんな人がいる。

当たり前だけれど。

何なら、私もそのうちの一人だけれど。



いろいろ思うそのときには無理だけれど、

近頃また現れ始めたアリたちと同じで


私たちもとてつもなくちっぽけで、

意味があるようでなくて、

ないようであるんだろうなぁと思う。



大丈夫。

何も気にせずに、私は私のことをやろう。



最後はそんなふうにおもいながら

ドライブを終えてお家に帰って来た。


帰宅後、ワンコは

おトイレをして、遊んで、ご飯を食べて、

スヤスヤと気持ち良さそうに夢を見ている。



そんな午前中から、

午後はのんびりとやりたいことをした。


ここに来たのもその一つ。


いい時間。




さて、今晩は何を食べようか。

タケノコの磯部揚げは既に決まっている。


戴き物のスナップエンドウをどうするか?

新しく購入した生麹のお味噌も使いたい。


うむうむ。


レシピを考えるのも

面倒な時と楽しい時とがあって、

だいたい6:4くらい。


ご機嫌なうちに取り掛かろうっと。