ドアに吊るしてある鈴を鳴らしながら、店の中に入った。

 臙脂色のモケット地のイス。

 四人がけのデーブルが、11席あり、カウンターがあった。

 11あるテーブルのうち、2つは麻雀ゲーム機のテーブルだった。

 カウンターは、料理の受け渡しや、ホールの人間がいるので、客席としては使われてないようだ。

 コーヒーの香り。

 ここが喫茶店というのが、シンプルでわかりやすい。

 眼鏡をかけた小柄な50代くらいの女性が近づいて来た。

 表の貼り紙を見たことを告げると、入口すぐのテーブルに座るよう促される。

 大まかな個人的なことを聞かれ、大まかな仕事内容や給料のことを聞いた。

 そして、明日から働くことになった。

 働くと決めていたので、ボクとしてはありがたい。

 連休に一日だけ、交通量の調査のバイトをした。

 初めてのバイトだった。

 そして、2つ目。

 底に溜まったガムシロが、嫌に甘いコーヒーを飲み干した。