ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドン。

 ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドン。

 助手席で薄目を開けた。

 運転席を見ると、うつらうつらと首を動かしながら、今にも閉じそうな目で、運転をしている。

 トンネルの中の、ラバー製オレンジ色の中央分離帯に、トラックをこすらせるたびに、目を見開いていた。

 今の時代なら、撮影され、投稿され、会社にバレ、トラックをおろされ、ヤレヤレとなるとこだ。
 悪い子ではないのだが、居眠り運転の常習犯で、そのくせ、長距離の現場に行きたがった。
 ワンマンでなく、ツーマンで来ているので、仮眠のできる時間もある。
 ボクは極力、かんちゃんとは長距離に行かないようにしていた。
 明るくなる頃、宮崎駅前に着いた。
 県庁所在地の駅の頼りなさに驚いた。
 ボクの地元の駅と、そう変わらない。
 ボクの地元の駅は、JRと私鉄が同じ場所にあるので、仕方ないのかもしれないのだが。
 この日は、現地の赤◯を二人手配していた。
 案の定、来たのは初老の方だった。
 使い方次第だと思ったが、引越作業慣れしていなく、力もない。
 タンスは面(前)の方が重たいので、それを意識して持つことを教えたが、2人で和ダンスを持ち上げたとき、前に傾き、前面が下になる形で、和ダンスを落とした。
 家具にキズはついていなかったので一安心。
 最近はこういった事があると、些細なことでも理不尽なクレームが入る。
 挙句の果てに、荷扱が悪かったと。
 それもあり、最近は余程の理由などがない限り、一般のお客さんはお断りしている。
 どうにかこうにか作業を終え、高速に乗り、サービスエリアで昼食。
 かんちゃんより早く、トラックの運転席に戻った。
 食べたあとは、余計に眠くなる。
 福岡から大阪まで、ノンストップで帰社。
 2度とかんちゃんとは、長距離に行かなくなった。