今日、始めて会った3人の同年代の子と、新幹線で名古屋に向かっていた。

 昨晩、あれほど飲んだのに、目覚めは良かった。

 時間はあるが、金が無い。

 目覚めが悪いわけにはいかなかった。

 起きあがり、求人雑誌で仕事を探し、新大阪で面接をして、新幹線の券を渡された。

 行き先の名古屋で降りたら、そのまま実家に戻ろうとは考えなかった。

 見知らぬ世界に対する不安と好奇心。

 一歩踏み出す、無謀ささえあれば、勇気なんて頼りないものだった。

 名古屋駅て私鉄に乗り換え、知らない名前の指定された駅で4人はおりた。

 マイクロバスに乗せられ、明日から働く、大手自動車メーカー系列の工場に向かった。
 工場内にある診療所で、健康診断を受ける。
 その後、マイクロバスで今晩から寝泊まりするアパートに連れて行かれた。
 3階建てのアパートは、わりかし新しく、2DKのつくりになっていた。
 部屋の中で、細かい説明を受け、一部屋2人ずつにわかれた。
 平日の時は、1人は昼勤、1人は夜勤となるので、顔を合わせることがない。
 なるほどと、変に感心した。
 ボクは、福岡から来た子と同室になった。
 残りの2人は、同級生で、宮崎の高校を出たあと、2年間、自衛隊で勤めて、地元に仕事がないために、ここに来た。
 同じ部屋に住んでいたのに、名前や顔も覚えていない。
 週末は、4人揃うのだが、みんなお金がないので、昼間はアパートから出てブラブラ、夜は、少ない額で、丁半、チンチロリン、こいこいをやって過ごした。
 そして、1ヵ月が過ぎた夜勤明けの週末、ボクは荷物を担いでアパートを出た。