少しずつ観光客が増えてきた。

 外国人観光客よりも、修学旅行とおぼしき、新緑の木々に似た、若々しい生命力に満ちた学生たちが多い。

 清水寺の方に歩いていく人は多く、まだ高台寺はひっそりと身を潜めている感があった。

 喧騒を避けるように、一念坂を下る。

 出町柳の方でも行こうと思ったが、この時期、貴船方面に向かうのは、涼を求めて芋煮鍋の中に入るような愚行だった。

 結局、祇園に向かい、花見小路を抜け、四条大橋を渡った。
 ここから、大宮の間は京都の繁華街であったが、錦天満宮の方に周り、錦小路通りから烏丸まで歩いた。
 久しぶりにのんびりと、歩いてみた。
 夕方、京都駅で、弟と会う。
 高知をたつとき、土産を買うお金も持ち合わせていなかった。
 そのくせ、いつも通り飄々と明日のことも考えていない自分に気づき、笑ってしまう。
 東本願寺近くの安宿に泊まり、朝早くからブラブラしたことをいつも思い出す。
 まだ朝の、人の少ない三十三間堂。
 ボクの中の京都。
 この世にいながら、あの世にいるような厳かな空間。

 錦市場近くの公園で、ハイライトに火をつけた。