朝早く、バスは終点に着いた。
駅を抜け、表側に出ると、見慣れた街並み。
この当時、駅ビルも含め、まだ風情があった。
あるテレビ番組で、4割ほど観光客が少なかったと、見たことがあったが、体感的にはもっと少なかった気がする。
神社仏閣など行かなくとも、京都にしかない趣が感じられ、仏様に拝顔して手を合わせるゆとりもあった。
京都の歴史が、優しく厳かに一人ひとりを包んでくれた。
バスに乗り、東山に向かった。
バスを降り、坂道を登る。
一歩一歩の歩みが、いつもどおり、気分を高揚させる。
桂浜で会ったあの人が、この先に眠っていた。
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240616/07/6zyoumanopianoman/ec/51/j/o0717070615452037589.jpg?caw=800)
いつもは11月15日に来ていた。
彼の命日で、神社の入り口付近で、高知県人会の人たちが、軍鶏鍋を振舞ってくれた。
志しを箱に入れ、寒い中、亡くなる日に食べる予定だった軍鶏鍋に舌鼓を打った。
京都に憧れ、大阪に住みついた。
嫌な部分は、見たくなかったからだった。
地元にいるときは、毎週通った京都だったが、近づいてみると次第に足は遠のいていった。