気の抜けた炭酸飲料が、好きな友人がいた。
味の好みは、人それぞれだと、ボクは一度だけ試したことがあった。
人それぞれ、好みがある。
寝起きの温く、気の抜けたビールは、昨晩の深酒の、乾いた喉を潤してくれた。
昨晩、部屋に戻ると急に酔いが覚め、両隣の部屋の人の気配が気になって、寝付けなかった。
カバンに押し込んでおいた、いざという時のための、トリスのポケット瓶。
キャップを乱暴にあけ、ストレートで口中に放り込んだ。
体に染み渡る間もなく、胃が焼けた。
慣れ親しんだ香りが鼻から抜けていった。
高校生の頃、常に学生服の内ポケットに裸で入れ、持ち歩いていた。
ハイライトは、どうしてか、シガレットケースに入れ替え、持ち歩いていた。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240603/17/6zyoumanopianoman/26/b7/j/o0452043115446998139.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240603/17/6zyoumanopianoman/a0/1e/j/o1045084715447005518.jpg?caw=800)
数年前と違うのは、ハイライトも買ったままの状態で、ポケットに入れて持ち歩くようになったことと、ZIPPOのライターが百円ライターになったことだった。
どれも半分も吸っていない、 アルミの灰皿の3本の吸い殻を見ながら、今晩の寝所はケチらないでおこうと決めた。
ろくすっぽ、くせ毛の髪を直すこともなく、宿を出ると、まだ人気のない気持ちのいい朝があった。
人で、ごった返す時間が来る前に、電車に乗ろうと、駅に向けて歩みを早めた。