鞆の浦を後にして、倉敷美観地区に立ち寄る。

 好みでないが、文句は言わず、両親、弟と川沿いを歩いた。 



 すぐに椅子があれば座り込んでしまう父親に、いつもみたいに甲斐甲斐しく弟が、ソフトクリームを買ってきて、父親に手渡した。
 満足そうな顔して、ソフトクリームを口にする父親。
 ボクはただ、今日も天気で良かったと、映画のセットのような風景を眺めた。
 そして、岡山の山あいのホテルで一泊。
 妻と2人なら、寄りたいところは多々あったが、興味のない老夫婦は退屈をするだろうと、瀬戸内海沿いを、東に走る。
 これまた定番の、姫路城を外から眺める。
 お城前の駐車場近くにある、お土産屋さんの椅子に座り、またソフトクリームを食べている父親。
 弟が、両親の言うことに「イヤ」と言ったことを、聞いたことがなかった。
 月に一度、2連泊で帰って来る弟は、両親に振り回されて、疲れに帰ってくるように思えた。
 一度、弟に聞いたことがあるが、実家が落ち着くそうだった。
 その弟は、もういない。
 一番下の弟夫婦が、ボクと同じく、地元に住んでいるのが救いだった。
 それでも、甘えること無く、亡くなった弟を真似て、両親のやりたいように、両親に付き合っている。
 姫路を出ると、京都で弟をおろし、日常生活に戻っていった。